AI創薬とは?成功例・失敗例と仕組み、無料ツール、進め方【2026年版】
AI創薬(創薬AI)の仕組みと、どこまで成果が出ているかを一次情報で整理。武田のザソシチニブ(FDA承認申請受理)、Insilicoのレントセルチブ(第3相開始)などの成功例と、BEN-2293・REC-994などの中止・見直し例を開発段階別に比較。無料で使えるツールのライセンス、メリット・デメリット、12ステップの進め方、規制、人材育成まで解説します。

AI創薬(創薬AI)とは、機械学習や生成AIを使って、病気の原因となる標的の探索、薬の候補となる化合物の設計、毒性の予測、臨床試験の設計を速く・安くする取り組みです。先に結論を書くと、2026年9月時点で、AIを使って設計・発見された薬の候補は臨床試験の後半まで進み始めています。武田薬品の乾癬治療薬候補ザソシチニブは米国で承認申請が受理され、Insilico Medicine の肺線維症治療薬候補レントセルチブは第3相試験に入りました。一方で、臨床試験で効果を示せなかった例(BenevolentAI の BEN-2293)や、臨床段階で開発を見直した例(Recursion の REC-994)もあり、「AIを使えば成功する」とはまだ言えません。
この記事では、成功例と中止例を「どの開発段階まで進んだか」でそろえて比較し、無料で試せるツールのライセンス、メリットとデメリット、社内でプロジェクトを進める12ステップ、規制の動き、人材育成までをまとめます。各事例には、企業の発表や論文など確認に使った一次情報へのリンクを付けています。
本記事の情報について: 事例・規制・ライセンスは2026年10月1日時点で各社の発表、論文、規制当局の公開文書を確認した内容です。開発状況は変わりやすいため、意思決定に使う前にリンク先で最新の状況を確認してください。
AI創薬(創薬AI)とは
AI創薬とは、医薬品の研究開発の各工程にAIを組み込み、候補の見落としを減らしながら期間と費用を縮める手法の総称です。過去のコンピューター支援創薬(計算化学による分子のシミュレーション)の延長にありますが、深層学習、生成AI、グラフニューラルネットワーク、大規模言語モデルを組み合わせて、大量のデータから候補を提案する点が異なります。
従来の創薬と何が違うのか
従来の創薬は「仮説駆動」です。研究者が標的のタンパク質を絞り込み、ハイスループットスクリーニング(HTS)で数十万の化合物を実験でふるいにかけ、見つかった候補を改良していきます。AI創薬は「データ駆動」で、化合物・タンパク質・遺伝子・文献のデータからAIが有望な候補の優先順位を出し、研究者はその検証と判断に集中します。
両者は対立するものではありません。AIが候補を絞り、研究者が実験(ウェット実験)で確かめ、その結果をAIに戻して次の候補を出す。この「設計→合成→評価→解析」の繰り返し(DMTAサイクル)を速く回すことが、AI創薬の実態です。
なぜ今注目されているのか
1つ目は、新薬開発の費用の大きさです。タフツ大学医薬品開発研究センター(Tufts CSDD)の DiMasi らの推計では、承認された新薬1つあたりの開発費は2013年ドル換算で約25.58億ドル、うち実際の支出は約13.95億ドルでした(Journal of Health Economics 2016 抄録)。アステラス製薬は、新薬の開発に一般的に9〜16年かかり、低分子薬の成功率は約2万3,000分の1とされると説明しています(アステラス製薬 2025年4月22日)。
2つ目は、タンパク質の立体構造予測の進歩です。2024年5月に Nature で発表された AlphaFold 3 は、タンパク質だけでなく、低分子化合物(リガンド)や核酸との複合体の構造まで予測できるようになりました(Nature 2024 抄録)。
3つ目は、臨床段階の結果が出始めたことです。次の章で、どこまで進んだかを段階別に見ていきます。
AI創薬の成功例 — どの開発段階まで進んだか
「成功例」は、どの段階まで進んだかで意味が大きく変わります。基礎研究で候補が見つかった段階と、承認申請まで進んだ段階では重みがまったく違うためです。ここでは、AIが候補の発見や設計に関わったと企業や論文が公表している主な例を、到達した段階でそろえて並べます。
上の図は、到達した段階を公表資料で確認できた4つの事例を並べたものです。臨床段階で開発を見直した Recursion の REC-994 を加えた5例を、表で詳しく比べます。
| 薬の候補 | 企業 | AIの関わり方 | 到達した段階(2026年9月時点) | 一次情報 |
|---|---|---|---|---|
| バリシチニブ(COVID-19への転用) | BenevolentAI(提案)・Eli Lilly(開発) | BenevolentAI の研究者が既存薬の中から治療候補として提案 | 米国で2020年11月に緊急使用許可、2022年5月に承認 | Lancet 2020、FDA承認書 2022 |
| ザソシチニブ(乾癬など) | 武田薬品(Nimbus から取得) | Schrödinger の計算プラットフォームで Nimbus と共同で創出 | 2026年9月、FDAが優先審査で承認申請を受理 | 武田 2026年9月14日(SEC提出)、Schrödinger 2026年1月 |
| レントセルチブ(特発性肺線維症) | Insilico Medicine | 標的の発見と分子の設計の両方を生成AIで実施 | 第2a相の結果を2025年6月に論文発表、2026年7月に第3相開始 | Nature Medicine 2025、第3相開始 2026年7月 |
| BEN-2293(アトピー性皮膚炎) | BenevolentAI | AI創薬企業の自社候補(AIの関わり方は発表に記載なし) | 第2a相で安全性は確認、かゆみ・炎症の改善は未達。以後の投資を中止 | BenevolentAI 2023年4月、2023年中間報告 |
| REC-994(脳海綿状血管奇形) | Recursion | AI創薬企業の自社候補(AIの関わり方は発表に記載なし) | 2025年5月のパイプライン絞り込みで、開発の中止または提携先の模索に移行 | Recursion 2025年アニュアルレポート |
表から読み取れることは3つあります。
- 承認まで届いた例は、まだ既存薬の転用です。 バリシチニブはもともと関節リウマチの薬で、BenevolentAI が提案したのは「新型コロナにも効くかもしれない」という使い道でした。AIで一から設計した分子が承認された例は、2026年9月時点で確認できませんでした。
- 新しく設計した分子は、承認の手前まで来ています。 ザソシチニブは2027年1〜3月に審査結果が出る予定で(上記の武田の発表)、承認されれば計算科学で創出した分子の代表例になります。
- 速く臨床に入れても、効くとは限りません。 住友ファーマと Exscientia の DSP-1181 は、AIを使って探索研究を12か月未満(従来は平均4.5年)で終え、2020年1月に第1相試験に入ったと発表されました(住友ファーマ 2020年1月30日)。ただし研究の速さは、臨床での効果を保証しません。BEN-2293 のように臨床試験で効果を示せなかった例や、REC-994 のように臨床段階で開発を見直した例があります。
レントセルチブの第2a相で分かったこと
レントセルチブは、Insilico Medicine が標的(TNIK)の発見から分子の設計までAIで進めた候補です。第2a相は中国の21施設、71人の患者で行われ、主な評価項目は安全性でした。12週時点の努力性肺活量(FVC)は、最も高い用量(1日1回60mg)の群で平均 +98.4 mL、プラセボ群で −20.3 mL でした(Nature Medicine 2025)。2026年7月には、中国47施設・320人規模の第3相試験が始まっています。ただし第2a相は少人数で短期間の試験であり、有効性が確定するのは第3相の結果を見てからです。
国内で発表された「期間短縮」の実績
臨床試験の段階には届いていなくても、研究の段階で期間を縮めた実績は国内でも発表されています。
| 企業 | 内容 | 発表 |
|---|---|---|
| アステラス製薬 | 人・AI・ロボットを組み合わせた創薬で、ヒット化合物から医薬品候補化合物を得るまでの期間を従来比で約70%短縮 | 2025年4月22日 |
| エクサウィザーズ・第一三共 | 約60億種類の化合物を対象に超大規模バーチャルスクリーニングを行い、約2か月で有望な約400化合物に絞り込み | 2024年3月18日 |
| 中外製薬 | AI技術 MALEXA-LI が、既存の抗体より1800倍以上結合が強い抗体の配列を提案 | 2021年3月22日 |
なお、塩野義製薬の新型コロナ治療薬ゾコーバ(エンシトレルビル)は「AI創薬の例」として紹介されることがありますが、論文の抄録ではバーチャルスクリーニングと構造に基づく設計(SBDD)で見いだしたと説明されており、AIの利用には触れていません(J Med Chem 2022 抄録)。計算機を使った創薬とAI創薬は分けて考えるのが正確です。
国内企業の取り組み
国内の製薬企業は、自社のAI基盤づくり、AIスタートアップとの提携、アカデミアとの連携を組み合わせて進めています。日本経済新聞は2025年6月、CBインサイツがまとめた創薬AI企業225社の市場マップを紹介し、治験期間を3割短縮できる可能性にも触れました(日本経済新聞 2025年6月)。
中外製薬 — 抗体創薬のAI「MALEXA」
中外製薬は、AIを使った抗体創薬支援技術 MALEXA-LI を開発しています。深層学習の一種である LSTM に基づく配列生成法で、既存の抗体と比べて1800倍以上結合強度の高い抗体のアミノ酸配列を提案できたことが Scientific Reports に掲載されました(中外製薬 2021年3月22日)。
第一三共 — AWS と組むAIエージェント型の研究基盤
第一三共は Amazon Web Services(AWS)と連携し、AIエージェントを統合した創薬研究基盤の構築を始めています。研究機器をクラウドにつなぎ、データメッシュ型の研究データ基盤を作り、2026年の運用開始を目指すと公表されています。AIエージェントの開発には Amazon Bedrock を採用し、Amazon Bedrock AgentCore は将来の導入に向けて検証中とされています(AWS公式ブログ)。
武田薬品 — Nabla Bio とのAIタンパク質設計の提携
武田薬品は2025年10月、米 Nabla Bio と2回目の提携を結びました。Nabla Bio は契約一時金と研究費として数千万ドル規模を受け取り、成功に応じた支払いは総額10億ドルを超える可能性があります(Nabla Bio 発表)。「10億ドルの提携」と紹介されることがありますが、これは成功時に支払われる上限の目安で、確定額ではありません。
NEC — AIで選んだネオアンチゲンによる個別化がんワクチン
NEC の子会社 NEC Bio と仏 Transgene は2026年4月、個別化ネオアンチゲンがんワクチン TG4050 のライセンス契約を結びました。切除後のHPV陰性頭頸部がんの術後補助療法として開発が進められています(Transgene 2026年4月2日)。
富士通・大阪大学 — 量子コンピュータで分子のエネルギーを計算
富士通と大阪大学は2026年3月、量子コンピュータの計算方式「STARアーキテクチャ」ver.3 を発表しました。創薬で重要な酵素シトクロムP450などを対象に、必要な量子ビット数を従来の方式の1/15〜1/80程度に減らし、計算時間を3桁短縮できることを確認したとしています(富士通 2026年3月25日)。AIそのものではありませんが、AIでは難しい精密な計算を補う技術として注目されています。
理化学研究所・アカデミアとスタートアップ
理化学研究所の創薬DXプラットフォームは、創薬標的の探索からリード化合物の創出までを55種類のアプリで半自動化する計算フローとして紹介されています(内閣官房 医薬品産業構造改革協議会 資料)。スタートアップでは、独自の言語モデルと自社ラボの実験データで抗体・ペプチドを設計する MOLCURE、AI創薬企業の Elix、AIによる論文探索などで創薬を支援する FRONTEO などが創薬支援を手がけています。
電子カルテや画像診断など周辺の医療AIは、電子カルテAI 完全ガイドとAI画像診断の医療応用にまとめています。
海外企業の取り組み
海外では、AIを中核に据えた創薬企業が自社で臨床候補を持ち、大手製薬との提携で規模を広げる形が定着しています。
Insilico Medicine — 生成AIで標的と分子の両方を設計
前の章で紹介したレントセルチブの開発元です。前臨床候補を約18か月で見いだした経緯は Nature Biotechnology に報告されています(Nature Biotechnology 2024)。2022年11月には Sanofi と最大12億ドル規模の提携を発表しました(発表 2022年11月8日)。
Recursion — 細胞画像とスーパーコンピュータ
Recursion は細胞の画像から表現型を読み取る手法を中核にしています。NVIDIA と構築したスーパーコンピュータ BioHive-2 は NVIDIA H100 GPU を504基搭載し、2024年6月の TOP500 で35位に入りました(NVIDIA 公式ブログ)。順位は半年ごとに更新され、2026年6月の一覧では93位です(TOP500)。一方で、2025年5月には REC-994 を含む3つの臨床プログラムについて開発の中止または提携先の模索に切り替え、候補を絞り込んでいます(Recursion 2025年アニュアルレポート)。
Schrödinger — 分子設計ソフトウェアと自社創薬
Schrödinger は Maestro や LiveDesign、自由エネルギー計算の FEP+ などの分子設計ソフトウェアを提供し、自社の創薬パイプラインも持っています(Schrödinger 公式サイト)。ザソシチニブは、同社のプラットフォームを大規模に適用して Nimbus と共同で創出したと説明しています(Schrödinger 2026年1月)。
XtalPi — AIとロボットによる大型提携
中国の XtalPi は2025年8月、DoveTree と最大約60億ドル規模の提携を発表しました(発表 2025年8月)。提携額は成功時の支払いを含む上限です。
失敗・中止例から分かること
中止例は、AI創薬を自社で始めるときの注意点を教えてくれます。
- BEN-2293(BenevolentAI): 第2a相で安全性という主な評価項目は満たしましたが、かゆみと炎症を減らすという有効性の評価項目は達成できませんでした。同社はその後、この候補への投資をやめています。AI創薬企業の候補であっても、患者で効くかは臨床試験でしか分かりません。BenevolentAI 自体も2024年12月に事業の大幅な見直しを発表しました(同社発表)。
- REC-994 など(Recursion): 2025年5月、臨床段階の3プログラムについて開発を中止するか提携先を探す方針に切り替え、優先度の高い候補に絞りました。候補を多く臨床に送れても、どれを続けるかの判断は従来の創薬と同じ厳しさで求められます。
この2例と、前の章で見た「速さと臨床での効果は別」という点から、社内でAI創薬を進める際の教訓は次の3つにまとめられます。
- 成果の指標を段階ごとに分ける。 「探索期間の短縮」「ヒット化合物の質」「臨床での有効性」は別の指標です。最初のPoCで測れるのは前の2つまでで、臨床での価値は長い時間をかけて確かめるしかありません。
- ウェット実験とAIの往復を組織として回す。 AIが出した候補を実験で確かめ、結果をモデルに戻す体制がないと、AIの精度は上がりません。
- 提携先の経営の持続性も見る。 AI創薬企業は事業の見直しや候補の絞り込みが起きやすい分野です。長期の共同研究では、相手の資金状況やパイプラインの変化も確認対象に入れてください。
無料で試せる創薬AIツールの比較と選び方
創薬AIのツールには、無料で使えるオープンソースや研究用のウェブサービスが多くあります。ただし「無料」と「商用利用できる」は別です。企業の研究で使う場合は、コードとモデルの重み(学習済みパラメータ)のライセンスを分けて確認してください。
| ツール | 用途 | 費用 | 企業での商用利用 | 一次情報 |
|---|---|---|---|---|
| AlphaFold 3 | タンパク質と低分子・核酸の複合体の構造予測 | 無料 | コードは Apache 2.0。モデルの重みと出力は非商用組織の非商用利用に限定 | GitHub README、重みの利用規約 |
| Boltz-1 / Boltz-2 | 構造予測。Boltz-2 は結合の強さ(親和性)も予測 | 無料 | MIT ライセンス(コード・重み) | GitHub |
| Chai-1 | 構造予測 | 無料 | Apache 2.0(コード・重み)で商用可 | GitHub |
| OpenFold | AlphaFold 2 相当の構造予測 | 無料 | Apache 2.0 | GitHub |
| ESM / ESMFold | タンパク質言語モデルと高速な構造予測 | 無料 | MIT | GitHub |
| RoseTTAFold All-Atom | 構造予測 | 無料 | BSD ライセンス | GitHub |
| AutoDock Vina | ドッキング(化合物の結合位置の予測) | 無料 | Apache 2.0 | GitHub |
| DiffDock | 拡散モデルによるドッキング | 無料 | MIT | GitHub |
| RDKit | 化合物データの処理・記述子計算 | 無料 | BSD-3 | GitHub |
| DeepChem | 化合物の性質予測などの機械学習ライブラリ | 無料 | MIT | GitHub |
| ADMETlab 3.0 | 吸収・分布・代謝・排泄・毒性(ADMET)の予測 | 無料のウェブサービス | 利用条件をサイトで確認 | 公式サイト |
| SwissADME | 薬物動態・薬らしさの予測 | 無料のウェブサービス | 利用条件をサイトで確認 | 公式サイト |
| ChEMBL | 化合物の生理活性データベース | 無料 | CC BY-SA 3.0 | ChEMBL について |
選び方の目安は次のとおりです。
- まず構造予測を試したい研究者: Boltz-2 や Chai-1 は重みまで商用利用できるため、企業の研究でも始めやすい選択肢です。AlphaFold 3 は企業の研究には使えない点に注意してください。
- 化合物のふるい分けを試したい: RDKit で化合物データを整え、AutoDock Vina や DiffDock でドッキングし、ADMETlab 3.0 や SwissADME で毒性や薬物動態の目安を見る、という組み合わせが無料でそろいます。
- ウェブサービスに社外秘の構造を入れない: 無料のウェブサービスは外部のサーバーで計算されます。自社の未公開化合物を入力する前に、利用規約とデータの扱いを確認し、必要なら手元のサーバーで動くオープンソースを選んでください。
無料ツールで足りない場合は、商用のプラットフォームやAI創薬企業との共同研究が選択肢になります。主な選択肢は次のとおりです。
| 選択肢 | 得意な工程 | 提供の形 | 一次情報 |
|---|---|---|---|
| Schrödinger | 計算プラットフォームによる分子の設計 | ソフトウェアの提供と、自社・共同での創薬 | 公式サイト、2026年1月の発表 |
| Insilico Medicine(PandaOmics・Chemistry42) | 標的の探索と生成AIによる低分子の設計 | 自社創薬と製薬企業との提携 | Nature Biotechnology 2024 |
| FRONTEO | AIによる論文探索と創薬支援 | 創薬支援サービス | 公式サイト |
| Elix | AIによる創薬支援 | 共同研究 | 公式サイト |
| MOLCURE | 独自の言語モデルと自社ラボの実験データによる抗体・ペプチドの設計 | 共同研究 | 公式サイト |
費用は契約の内容で変わるため、同じ課題・同じデータ条件で複数社に提案と見積もりを依頼して比べるのが確実です。
創薬の工程とAIが効く場所
AIをどこに使うかを決めるには、創薬の流れを押さえておく必要があります。
| # | 工程 | 目的 | 期間の目安 | AIの主な使い道 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 標的の同定・検証 | 病気の仕組みを調べ、薬で狙える標的を選ぶ | 1〜3年 | 文献・オミクスデータからの標的候補の抽出、知識グラフ |
| 2 | ヒット探索 | 標的に作用する化合物を見つける | 1〜2年 | バーチャルスクリーニング、構造予測、ドッキング |
| 3 | リード最適化 | 活性・選択性・薬物動態を高める | 1〜2年 | 生成AIによる分子設計、物性予測 |
| 4 | 非臨床試験 | 動物などで安全性と効果を確認 | 1〜2年 | 毒性・ADMET予測で試験前に候補を絞る |
| 5 | 臨床試験(第1〜3相) | ヒトで安全性と有効性を確認 | 数年 | 患者の層別化、試験設計、データの解析 |
期間の目安は一般的な説明に使われる幅で、薬の種類や疾患によって大きく変わります。
AIの導入効果が出やすいのは、2〜3の研究段階(必要に応じて4の毒性予測)です。理由は、実験結果が比較的早く得られてAIの予測を確かめやすく、改善の効果も測りやすいためです。最初のPoCは、ヒット探索かリード最適化から始めるのが一般的です。
主要な技術
タンパク質の構造予測
標的タンパク質の立体構造が分かると、どんな形の化合物が結合しやすいかを計算で考えられます。AlphaFold 3 以降、Boltz-2 や Chai-1 などオープンなモデルも登場し、前の章の無料ツールの表のようにライセンスで使い分けるのが現実的です。
生成AIによる分子設計
画像生成と同じ拡散モデルや、分子を文字列で扱う言語モデルで、望ましい性質をもつ分子を一から設計します。活性・選択性・毒性・合成のしやすさを同時に満たす必要があり、AIの提案を研究者が評価して絞り込みます。Insilico Medicine の Chemistry42 が代表例です。
グラフニューラルネットワーク(GNN)
分子は原子をノード、結合を辺としたグラフとして表せます。GNN はこの構造をそのまま学習できるため、活性や毒性、物性の予測に広く使われています。オープンソースでは DeepChem などで利用できます。
自然言語処理(論文・特許の解析)
大量の論文や特許から、標的の仮説や競合の動きを抽出します。既存の知識をつなぎ直して、既存薬の新しい使い道を探す場面でも使われます。
細胞画像とマルチオミクスの統合
Recursion のように、細胞の画像や遺伝子発現などの大量データから病気の状態を読み取り、それを戻す化合物を探す方法です。大量の実験データと計算資源が必要になります。
メリットとデメリット
導入を判断する前に、期待できる効果と、実装段階でぶつかる論点を並べておきます。
| 区分 | 項目 | 内容 | 根拠・例 |
|---|---|---|---|
| メリット | 研究期間の短縮 | 探索・最適化の段階を大きく縮められる | アステラスはヒットから候補化合物までを約70%短縮、DSP-1181 は探索研究を12か月未満で完了 |
| メリット | 候補の探索範囲の拡大 | 実験では扱えない規模の化合物を計算で評価できる | エクサウィザーズ・第一三共は約60億化合物から約2か月で約400に絞り込み |
| メリット | 既存薬の新しい使い道 | 既存の知識から転用先を見つける | バリシチニブの新型コロナへの転用 |
| デメリット | 臨床での成功は保証されない | 研究が速くても、患者で効くかは別問題 | BEN-2293 は第2a相で有効性が未達、REC-994 は開発を見直し |
| デメリット | データの不足と偏り | 不活性データや毒性データが少なく、社内データだけでは偏る | ChEMBL など公開データとの併用が前提 |
| デメリット | 規制対応の負担 | 規制判断に使う場合、モデルの信頼性の説明が求められる | FDA のドラフトガイダンス(後述) |
| デメリット | ライセンスと知財 | モデルの利用条件や、AIが関わった発明の扱いを確認する必要がある | AlphaFold 3 の重みは非商用限定 |
| デメリット | 組織の摩擦 | 研究者の仮説とAIの提案がぶつかる | AIと研究者の役割分担の設計が必要 |
| デメリット | 計算資源の費用 | 大規模な計算にはGPUなどの費用がかかる | 規模に応じてクラウド費用が増える |
デメリットの多くは、技術よりも組織と進め方で対処できます。小さく始め、データを整え、薬事部門を早く巻き込み、単発の結果ではなく複数年の成果で評価する、の4点が基本です。
AI創薬プロジェクトの進め方 — 12ステップ
研究の工程とは別に、AIプロジェクトを社内で進める単位で12ステップに整理します。研究部門、DX部門、薬事、外部の委託先が同じ言葉で進捗を話すための枠組みです。
| Step | 段階 | やること | 期間の目安 | 主な担当 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 仮説設定 | どの標的・どの課題をAIで解くかを1テーマに絞る | 2〜4週 | 研究責任者・CDO(最高デジタル責任者) |
| 2 | 指標の設計 | 技術の指標(ヒット率、予測精度)と事業の指標(期間短縮、候補数)を決める | 2週 | CDO・研究部門 |
| 3 | データの棚卸し | 社内のスクリーニング結果・構造活性相関・オミクス・文献を整理し、足りない分を公開データで補う計画を立てる | 4週 | データサイエンス |
| 4 | データ基盤の整備 | クラウドやデータレイク、メタデータ管理を整える | 8〜12週 | DX・情報システム |
| 5 | 委託先・ツールの選定 | 内製、SaaS、AI創薬企業、大学連携から複数の候補に情報提供を依頼する | 4〜6週 | 調達・研究部門 |
| 6 | ベンチマーク | 過去に成功した化合物をモデルが「再発見」できるか確かめる | 4〜6週 | データサイエンス |
| 7 | PoCの実施 | 1標的・1種類の薬に絞ってAIで候補を出し、実験で確かめる | 12〜24週 | 研究部門・委託先 |
| 8 | 効果の測定 | 指標を定量評価し、本番化するかを判断する | 4週 | CDO・研究部門 |
| 9 | 規制対応の設計 | 必要なGxP、コンピュータ化システムバリデーション(CSV)、説明可能性、監査ログを整理する | 8週 | 薬事・品質保証 |
| 10 | バリデーション | CSV、モデルの変更管理、検証データの追跡を実装する | 12〜24週 | 品質保証・情報システム |
| 11 | 本番運用 | 全社の基盤に統合し、再学習とモニタリングを回す | 継続 | DX・研究部門 |
| 12 | 横展開と見直し | 別のテーマへ展開し、指標を年次で見直す | 継続 | CDO |
期間は一般的な目安で、テーマとデータの状態で大きく変わります。表の期間を順に足すと Step 1〜7 で8か月〜1年強になり、データ基盤の整備と委託先の選定を並行させれば短縮できます。Step 8〜11 には1〜2年を見込むのが一つの目安です。
PoCをやめる判断基準を先に決める
PoCは「やめる判断」を決めておかないと終わりません。Step 2 の段階で、次のような撤退の条件を文書にしておくと判断がぶれません。
- 技術の指標が目標に届かない(例: ヒット率の改善が目標の半分に満たない)
- データの偏りが大きく、直すのに半年以上かかる
- 規制対応の見積もりが当初の想定を大きく超える
- 社内の合意形成が半年以上止まっている
撤退は失敗ではありません。何が足りなかったかを記録しておくと、次のテーマで同じ失敗を避けられます。
PoCから本番化で詰まる7つの壁
PoCで手応えがあっても、本番の業務に組み込む段階では別の課題が出てきます。止まりやすい論点を7つに整理します。
1. GxPとCSVへの対応
医薬品の開発には、非臨床(GLP)、臨床(GCP)、製造(GMP)、市販後(GVP)の各段階に品質の規制があります。AIを規制に関わる判断に使う場合、モデルのバージョン管理、ログの保存、検証データの追跡ができる体制が必要です。
2. データの不足
活性のあるデータは集まりやすい一方、活性のないデータや毒性のデータは不足しがちです。社内データだけでは偏るため、ChEMBL などの公開データと組み合わせます。
3. 部門の壁
研究、開発、製造、薬事の部門ごとにデータが分かれていると、AIを工程をまたいで使えません。第一三共が研究機器をクラウドにつなぐところから始めているのは、この壁を取り除くためです。
4. 説明可能性
規制に関わる判断にAIを使う場合、なぜその結果になったかの説明が求められます。FDAのドラフトガイダンスは、AIを使う目的と範囲(Context of Use)ごとにモデルの信頼性を評価する考え方を示しています(創薬の探索研究段階は対象外)。
5. 知財
AIが関わった化合物の特許では、発明者を誰とするかが論点になります。人の研究者がどの判断をしたかを記録しておくと、出願時の説明に役立ちます。各国の運用は変わり得るため、知財部門と早めに確認してください。
6. 組織文化
仮説から研究を進めてきた組織にデータ駆動を持ち込むと、摩擦が起きます。AIは候補を根拠とともに示し、最終判断は研究者が行う、という役割分担を明確にすると受け入れられやすくなります。
7. 費用対効果
大規模な計算には費用がかかります。単一のテーマで回収できるかではなく、複数年で研究全体の生産性がどう変わるかで評価する必要があります(後述の試算を参照)。
PoCから本番化への一般的な進め方は、AI PoC から本番化へのガイドとAI導入の進め方でも整理しています。
規制の動き — FDA・EMA・PMDA
規制当局は、AIを医薬品開発で使うための考え方を相次いで示しています。
| 時期 | 当局 | 内容 | 一次情報 |
|---|---|---|---|
| 2024年9月 | EMA | 医薬品のライフサイクルでのAI利用に関するリフレクションペーパーを CHMP が採択(9月9日)、9月30日に公表 | EMA |
| 2025年1月 | FDA | 医薬品の規制判断を支えるAI利用についてのドラフトガイダンス。7つのステップからなるリスクベースの信頼性評価の枠組み。創薬(探索研究)段階のAI利用は対象外 | FDA ドラフトガイダンス、官報告示 |
| 2025年10月 | PMDA | 「PMDA業務に対するAI活用行動計画」(9月26日付)を公表。2026年4月には Microsoft Copilot の全役職員への導入を完了 | 行動計画、Copilot 導入 |
| 2026年1月 | EMA・FDA | 医薬品開発における良いAI実践のための10の共通原則を公表(1月14日) | EMA ニュース |
FDAのドラフトガイダンスは、非臨床・臨床・市販後・製造で安全性や有効性の規制判断に使うデータをAIで作る場面を対象にしており、創薬(探索研究)や社内業務の効率化だけに使うAIは対象外と明記しています。標的探索や化合物設計にAIを使う段階では、この枠組みが直接は求められない点を押さえておくと、PoCの範囲を決めやすくなります。
医療機器としてのAI(診断支援ソフトなど)には、別の枠組みがあります。FDA は2024年12月にAI搭載の医療機器ソフトウェアの事前変更管理計画(PCCP)の最終ガイダンスを出し(官報)、2026年2月2日には ISO 13485:2016 を参照する品質管理システム規則(QMSR)が施行されました(官報)。PMDA は2024年7月にプログラム医療機器審査部を設けています(PMDA)。創薬に使うAIが医療機器の規制の対象になるとは限らないため、自社の使い方がどちらに当たるかを薬事部門と確認してください。
なお、ICH M15 は「AIのガイドライン」と紹介されることがありますが、正しくはモデルを用いた医薬品開発(MIDD)の一般原則です。2026年1月29日に ICH で最終合意(Step 4)に達し、EUでは2026年7月23日から適用されています(ICH M15 Step 4、EMA)。AIや機械学習のモデルも対象に含まれ得ますが、AIだけを扱う指針ではありません。
費用の目安とROIの試算
導入形態ごとの費用の目安
| 形態 | 強み | 弱み | 費用の考え方 |
|---|---|---|---|
| 自社で内製 | 自社に合わせて作り込め、ノウハウが社内に残る | 立ち上げに時間と人材が必要 | 人件費と計算資源が中心。データ基盤から作る場合は数年がかり |
| SaaS・商用ソフト(Schrödinger など) | 短期間で始められ、検証済みの手法を使える | 自社向けの作り込みに限界 | ソフトウェアの利用料。金額は見積もりで確認 |
| AI創薬企業との共同研究(Insilico など) | 標的探索から候補の提案までまとめて任せられる | 成果やデータの権利の配分が複雑 | 一時金・研究費と、成功時の支払いの組み合わせが一般的 |
| 大学・研究機関との連携 | 最先端の手法と研究者にアクセスできる | 事業化の体制が整っていない場合がある | 共同研究費 |
上の表の「AI創薬企業との共同研究」で公開されている契約の形は、武田と Nabla Bio(一時金と研究費が数千万ドル規模、成功時の支払いは総額10億ドルを超える可能性)や、Insilico と Sanofi(最大12億ドル)のように、成功時の支払いを含めた上限で発表されるのが一般的です。発表額は確定した支払額ではない点に注意してください。
最初は、無料のツールと社内データで小さく検証し、効果が見えてから委託先を選ぶ順番にすると、費用を抑えて判断できます。
ROIの試算テンプレート
AI創薬の効果を金額で示すための簡単な計算式を示します。係数は説明用の仮置きで、実際には自社のデータに合わせて調整してください。
| 変数 | 単位 | 説明 |
|---|---|---|
| H | 倍 | ヒット率の改善倍率(AI導入前との比較) |
| T | 年 | 研究期間の短縮幅 |
| P | ポイント | 第2相の成功率の改善幅 |
| C | 億円 | 1テーマあたりの研究開発投資 |
| N | 本 | 並行して進めるテーマの数 |
仮置きの係数として、全投資のうち探索段階の割合を α=0.3、期間短縮1年あたりの価値を投資額の β=0.1、第2相以降の割合を γ=0.4 とします。
- 探索段階のコスト削減 = C × α × N × (1 − 1/H)
- 期間短縮の価値 = T × β × C × N
- 第2相の成功率向上による効果 = C × γ × N × P
- 合計 = 上の3つの和
例1: 大手製薬(C=50億円、N=5本、仮置きの想定 H=3、T=2.5年、P=5ポイント)
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 探索段階のコスト削減 | 50 × 0.3 × 5 × (1 − 1/3) | 50億円 |
| 期間短縮の価値 | 2.5 × 0.1 × 50 × 5 | 62.5億円 |
| 第2相の成功率向上 | 50 × 0.4 × 5 × 0.05 | 5億円 |
| 合計 | — | 117.5億円 |
例2: 中堅製薬(C=15億円、N=3本、H=2.5、T=2年、P=4ポイント)
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 探索段階のコスト削減 | 15 × 0.3 × 3 × (1 − 1/2.5) | 8.1億円 |
| 期間短縮の価値 | 2 × 0.1 × 15 × 3 | 9億円 |
| 第2相の成功率向上 | 15 × 0.4 × 3 × 0.04 | 0.72億円 |
| 合計 | — | 約17.8億円 |
例3: バイオベンチャー(C=3億円、N=1本、H=10、T=1.5年) では、探索段階の削減が 3 × 0.3 × 1 × 0.9 = 0.81億円、期間短縮が 1.5 × 0.1 × 3 × 1 = 0.45億円にとどまります。ベンチャーの場合は、PoCを1〜2年で終えて大手との提携(一時金と成功時の支払い)につなげられるかが、金額面での勝負になります。
この試算は「期間短縮1年あたり投資額の10%」など強い仮定に依存しており、結果は仮定しだいで大きく変わります。社内で使う場合は、係数の根拠を自社の過去プロジェクトの実績から作り直してください。AI投資の一般的な費用対効果の考え方は、AI導入の費用とROIの考え方にまとめています。
人材育成 — 4つの役割と3つの段階
AI創薬には、AIと生命科学の両方が分かる人材が必要です。採用だけで集めるのは難しいため、社内育成と外部との連携を組み合わせます。
必要な4つの役割
| 役割 | 主に担うステップ | 必要なスキル |
|---|---|---|
| データサイエンティスト | Step 3, 6, 7, 11 | Python、PyTorch、GNN、大規模言語モデル、機械学習の運用 |
| 計算化学者・バイオインフォマティシャン | Step 2, 6, 7 | RDKit、分子シミュレーション、ドッキング、オミクス解析 |
| 規制対応の担当(薬事) | Step 9(10・11は品質保証と連携して変更管理を確認) | GxP、CSV、FDA・EMA・PMDA の指針 |
| プロダクトマネージャー | Step 1, 2, 5, 8 | プロジェクト管理、委託先の選定、経営への報告 |
3つの段階で目指すスキル
| 段階 | データサイエンティスト | 計算化学者 | 薬事 | プロダクトマネージャー |
|---|---|---|---|---|
| 1年目(基礎) | Python と分子モデリングの基礎 | RDKit、DeepChem に触れる | GxP の基礎とデータの完全性の原則 | DMTAサイクルの理解 |
| 3年目(応用) | GNN・生成モデルの実装、モデルの運用 | 構造予測モデルの構築、ドッキングの自動化 | FDA・EMA・PMDA の指針の読解と CSV の設計 | PoCの主導と委託先の選定 |
| 5年目(リード) | 研究組織を横断する基盤の設計 | 複数の種類の薬に対応するAIの設計 | 変更管理計画の設計と監査対応 | 経営へのROI報告と全社展開 |
最も難しいのは3年目の段階で、データサイエンティストと計算化学者が同じ言葉で議論できる状態を作ることです。上の表の無料ツールを使って、両者が同じデータで小さな課題を解く社内演習を組むと、共通言語を作りやすくなります。
外部との連携では、大学の研究室への社会人博士の派遣や共同研究、AI創薬企業との共同研究を通じたノウハウの獲得が選択肢になります。AI人材育成の一般的な進め方は、AI人材育成のロードマップも参考になります。
相談すべきケース・まだ早いケース
外部の専門家に相談すると進みやすいのは、次のような状況です。
- 社内にスクリーニング結果や構造活性相関のデータがあり、どこからAIに使えるかを整理したい
- PoCで候補は出たが、社内の研究データ基盤や業務の流れに組み込めずに止まっている
- 無料ツールで試したが、社外秘のデータを安全に扱える環境を社内に作りたい
- 委託先の候補が複数あり、提案や見積もりを同じ基準で比べたい
まだ早いのは、どの標的・どの課題をAIで解くかが社内で決まっていない段階です。この場合は、上の12ステップの Step 1〜3(テーマの絞り込み、指標の設計、データの棚卸し)を社内で進め、無料ツールで小さく試すところから始めてください。
koromo(衣株式会社)は創薬の研究そのものではなく、AI活用の戦略づくりと、研究データ基盤や社内向けツールの開発を支援しています。データの整理、PoCの範囲と指標の設計、既存システムとの連携を含む開発まで、段階に合わせて相談をお受けします。初回の相談では、保有しているデータの種類と量、解きたい課題をうかがい、PoCをどの工程から始めるかの見立てをお伝えします。AI戦略・CAIO代行とプロダクト開発の内容もご覧ください。
よくある質問
まとめ
AI創薬は、研究段階での期間短縮では成果が出そろい、臨床段階でも承認申請や第3相試験まで進む候補が出てきました。一方で、臨床試験で効果を示せなかった例や、臨床段階で開発を見直した例もあり、成功を判断するには「どの段階まで進んだか」を分けて見る必要があります。
自社で始める場合は、無料ツールと社内データで小さく試し、指標と撤退条件を先に決めたうえで、ヒット探索やリード最適化からPoCを始めるのが現実的です。規制は FDA・EMA・PMDA とも考え方の整理が進んでいるため、薬事部門を早い段階から巻き込んでください。
医療分野のAI活用の全体像はヘルスケアAIの活用事例で確認できます。


