ai·

Genspark 法人契約ガイド|Team/Enterpriseの違い・個人アカウントからの移行・危険性とSOC 2

Genspark(ジェンスパーク)の法人契約はTeam($30/席/月・カード払い)とEnterprise(見積もり・請求書払い)の2つ。個人アカウントからの移行手順、Teamで個人データを入力できない理由、危険性とSOC 2の範囲を、利用規約・契約書・公式ヘルプセンターで確かめて解説します(2026年9月時点)。

Genspark 法人契約ガイド|Team/Enterpriseの違い・個人アカウントからの移行・危険性とSOC 2

Genspark(ジェンスパーク)を法人で契約する方法は、2026年9月時点で実質2つです。自社で Team プランを申し込むか、営業経由で Enterprise 契約を結ぶかです。国内代理店のソースネクストも Team を販売していましたが、現在は新規受付を一時停止しています。どちらを選ぶかで、支払い方法、使える管理機能、そして「個人データを入力してよいか」が変わります。

本記事は、Genspark の公式ページ(利用規約、プライバシーポリシー、Team 契約書、ヘルプセンター、法人向け料金ページ)を2026年9月25日に確認した内容に基づきます。料金の細かな比較は Genspark 料金プラン比較 に分け、この記事では契約の選び方・移行手順・危険性・SOC 2 を扱います。

結論

  1. Genspark の法人向けプランは Team と Enterprise の2つ。Team は $30/席/月でクレジットカード払い、Enterprise は個別見積もりで請求書払いに対応します。
  2. 現状、Team プランでは個人データを入力できません。Team 契約書は DPA(データ処理契約)を結ぶ前の個人データの送信を禁じており、ヘルプセンターは Team では現時点で DPA を提供していないとしているためです(第2章)。顧客情報や人事情報を扱うなら Enterprise が前提です。
  3. 個人アカウントの契約は法人へ譲渡できません。個人の Plus/Pro を解約し、会社が契約した Team に招待を受ける形で移ります。解約せずに参加すると二重に課金されます。
  4. SOC 2 Type II 報告書と ISO 27001:2022 認証を取得済みです。ただしヘルプセンターによると、SOC 2 の監査報告書そのものを読めるのは NDA を結んだ Enterprise 顧客です。
  5. 公式ページ同士で記載が食い違う項目があります(Team のクレジット数、Team で SAML SSO を使えるか等)。契約前に書面で確かめてください。

1. Genspark の法人契約のルート(Team/Enterprise/代理店)

Genspark の法人契約とは、個人アカウントの有料プラン(Plus/Pro)ではなく、組織として席数をまとめて契約し、管理者が請求・メンバー・設定を一元管理する契約形態です。公式には Team と Enterprise の2つが用意されています(Genspark ヘルプセンター「Team & Enterprise Plans」)。

ルート1:Team プランを Web で申し込む

  • 対象: 2〜150名程度の組織や部署
  • 価格: $30/席/月(米ドル建て、月額)
  • 申し込み: genspark.ai/team_pricing から席数を選び、Stripe でクレジットカード決済
  • 契約書: Web 上で同意する「Master Subscription Agreement(Team Plan)」(以下「Team 契約書」)。契約相手は米国の Genspark Inc. です
  • 支払い: クレジットカードのみ。請求書払い・銀行振込・発注書(PO)番号の記載には対応していません

最短で当日から使えるのが利点です。一方で、支払いは会社のクレジットカード1枚でまとめる形になり、円建て請求や月末締めの振込には対応しません。

ルート2:Enterprise を営業経由で契約する

  • 対象: 151名以上、または個別の契約条件・DPA(データ処理契約)・データ保存地域の指定・専任サポートが必要な組織。ヘルプセンターは、100名規模でも DPA や振込払いが必要なら Enterprise が適する場合があると案内しています
  • 価格: 個別見積もり。法人向け料金ページには「年額で通常6桁ドル(10万ドル以上)」と記載されています(Genspark 法人向け料金ページ、2026年9月17日更新)
  • 申し込み: 営業窓口への連絡後、Order Form(注文書)とマスター契約を締結。日本語の相談窓口は Genspark 法人向けページ にあります
  • 支払い: 銀行振込・ACH(米国の銀行間口座振替)・請求書払い(支払期限30日)。発注書を注文書の代わりに使うこともできます

ルート3:国内代理店から購入する

ソースネクスト株式会社は Genspark の国内代理店として、2026年6月4日から Team プランを円建て・請求書払いで販売していました。価格は1人あたり月額4,800円(税別)で、2名以上から利用できます(ソースネクストのプレスリリース(PR TIMES))。同社の販売ページでは150名まで対応としています。

ただし2026年9月25日時点で、ソースネクストは Team プランの新規申し込みと問い合わせの受付を一時停止しており、問い合わせは Genspark 社のページへ案内されています(ソースネクスト「Gensparkチームプラン」)。

同社の法人向けお支払いサイトでは、個人向け Plus の1年版・3年版のオンラインコードを請求書払い(月末締め翌月末払い)で購入できます。同サイトの注意書きには、利用開始時に Genspark 側でクレジットカードの登録が別途必要なこと、利用期間の終了後は Genspark のカード課金へ自動で移ることが書かれています(ソースネクスト法人様向けお支払いサイト)。Plus は個人向けプランなので、管理機能も組織向けの契約条件もありません。

どのルートを選ぶか

自社の状況選ぶルート理由
2〜150名で、公開情報や社内の一般情報だけを扱うTeam(Web)当日から使え、月単位で解約できる
顧客名簿・人事情報など個人データを入力する業務があるEnterpriseTeam では個人データを入力できない(第2章)
振込払い・発注書・円建て請求が経理上の必須条件Enterprise(または代理店の受付再開を待つ)Team の直販はクレジットカードのみ
151名以上EnterpriseTeam の想定は150名まで
数名が試しに使う段階で、会社の請求書払いが必須代理店経由の Plus コード(個人向け)請求書で購入できるが、組織管理はできない

2. Team と Enterprise の違い

Team と Enterprise の違いは、規模、契約の形、個人データを扱えるか、統制機能の深さの4点です。ヘルプセンターの比較表のうち、法人の判断に関わる行は次のとおりです(2026年9月25日確認)。

項目TeamEnterprise
価格$30/席/月個別見積もり
席数2〜150151以上(上限なし)
契約期間月単位で自動更新通常36か月の初期期間+12か月ごとの自動更新(注文書で決定)
解約いつでも可(支払い済み期間の末まで利用可)60日前の書面通知
支払いクレジットカード(Stripe)振込・ACH・請求書(支払期限30日)
返金なしなし
DPA(データ処理契約)提供なし提供あり(個別に調整可)
個人データの入力不可(DPA が無いため)DPA 締結後に可
データの保存地域米国(US-West=米国西部)米国・EU・アジア太平洋から選択
ネットワーク分離他社と共有の基盤専用 VPC(他社と分けた専用ネットワーク)を選択可
管理者が見られる情報席ごとのクレジット利用量同左+利用ログの出力・ログイン履歴
機能ごとの利用制限なしエージェント単位で許可・禁止
セキュリティ事故の通知標準の通知24時間以内の通知+専任の窓口
障害時の一次応答24時間(平日の営業時間)4時間(重大障害は24時間365日)
稼働率の保証契約書に定めなし99.9%(未達時はサービスクレジット)
SOC 2 監査報告書提供なし(Trust Portal の閲覧は可)NDA のもとで提供
契約終了後のデータ30日後に削除(バックアップは90日保持)同左。削除証明・訴訟に備えた保全にも対応

Team で個人データを入力できない理由

Team 契約書の第3.5条は、「顧客は、Genspark とデータ処理契約を締結するまで、個人データをサービスに送信してはならない」と定めています(Master Subscription Agreement(Team Plan))。一方、ヘルプセンターの比較表は、Team の欄に「個人データの送信には DPA が必要」「DPA は現在提供していない」と並べて書いています。この2つを合わせると、現状の Team は個人データを入れない業務のためのプランということになります。本記事で「Team では個人データを入力できない」と書くときは、この根拠を指しています。

ここでいう個人データは、日本の個人情報保護法の「個人データ」より広く読める点に注意してください。Team 契約書は定義をプライバシーポリシーに委ねており、そこでは「特定の個人、または特定できる個人に関するあらゆる情報(個人のメールアドレスを含む)」とされています。顧客1人の氏名やメールアドレスでも該当します。

なお、ソースネクストの販売ページは Team について「社内の機密情報・個人情報を扱う業務でも導入を検討しやすい」と説明していますが、これは上の契約書の条文と食い違います。契約の内容は Genspark の契約書が優先するため、個人データを扱う場合は DPA の締結を前提に考えてください。

管理機能の違い

Team の管理機能は、メンバーの招待・削除、席数と請求の管理、外部連携(コネクタ)の一括の有効化・無効化が中心です。誰がいつどこからログインしたか、どの機能を使ってよいかといった統制は Enterprise の機能です。SAML SSO(社内の ID 基盤でのシングルサインオン)は、ヘルプセンターでは Team でも設定できるとされていますが、法人向け料金ページでは Enterprise のみの機能として載っています(次の表を参照)。

どちらのプランでも、管理者はメンバーのプロンプト、ファイル、生成物、プロジェクト履歴を見られません。「組織で契約すれば管理者が中身を確認できる」という前提で導入すると、監査の設計が崩れます。入力内容の確認が必要な業務では、社内ルールと入力前の確認手順で統制します。

公式ページ間で記載が異なる項目

ヘルプセンターと法人向け料金ページ(2026年9月17日更新)では、次の項目の記載が一致していません。どちらが最新の条件かは公開情報からは判断できないため、契約前に営業担当へ書面で確認してください。

項目ヘルプセンター法人向け料金ページ
Team の月間クレジット(1席)12,00010,000
Enterprise の月間クレジット(1席)25,00020,000
Team で SAML SSO を使えるか使える(Entra ID/Google Workspace/Okta/汎用 SAML 2.0)Enterprise のみ(SCIM=アカウントの自動連携と合わせて記載)
Enterprise の契約期間通常36か月+12か月の自動更新年間契約
Team の DPA比較表・FAQ では提供なし(両プラン共通のセキュリティの説明には「DPA に基づき学習に使わない」とあり、同じページ内でも記載が食い違っている)Team は標準の利用条件、Enterprise はマスター契約と DPA を締結

ソースネクストの販売ページは Team を「毎月12,000クレジット、SSO/SAML 連携対応」と説明しており、ヘルプセンターと同じ内容です。SSO が必須条件の会社は、Team を申し込む前に管理画面の「Identity & provisioning」に SAML の設定項目があるかを確認し、無い場合は Enterprise を前提に見積もりを取ってください。

3. 個人アカウントを法人契約に移す方法

個人アカウントから法人契約へ移るには、個人の契約を解約し、会社の Team に招待されて参加します。Genspark のサブスクリプションは購入時にログインしていたアカウントに紐づき、別のアカウントへ譲渡できないためです(Genspark ヘルプセンター「Membership Plans」)。個人の契約を会社名義に切り替える機能はありません。

移行の手順

  1. 会社側で Team を契約する: 管理者になる担当者が team_pricing から席数を選んで購入します。購入した人が最初の管理者になり、管理者も1席として課金されます。
  2. 社員が個人の Plus/Pro を解約する: ヘルプセンターは、チームに参加する前に個人のサブスクリプションを解約するよう案内しています。解約しても支払い済みの期間の終わりまでは使えます。
  3. 管理者が社員を招待する: 管理画面の「Members」から、メールアドレス(1行に1件、または CSV)で招待します。招待を承認した時点で1席を使います。
  4. 社員が招待を承認する: 以降、クレジットは会社の席から付与されます。社員が自分の支払い方法を登録する必要はありません。
  5. SSO を使う場合は最後に強制する: 「Require SSO for all members」を有効にすると、社内ドメインのユーザーはパスワードや Google ログインを使えなくなります。有効にする前に、シークレットウィンドウで SSO ログインが通ることを必ず確かめてください。 設定を誤ると全員が締め出され、アプリ内に復旧手段はありません。

移行で起きやすい失敗

失敗何が起きるか防ぎ方
個人の Plus を解約せずに Team に参加する同じメールアドレスで両方が課金され続ける。割引や統合はない招待の前に解約を確認する
スマホアプリで個人契約していたWeb から解約できないApp Store/Google Play の設定から解約する
私用のメールアドレス(Gmail 等)のアカウントで業務をしていた会社のドメインでの SSO や、退職時の利用停止が効かない会社のメールアドレスで新しくアカウントを作り、そこを招待する
1つの個人アカウントを部署で共有していた利用規約違反(アカウントの共有・譲渡の禁止)人数分の席を Team で契約する

退職などでメンバーを外すと、その人はすぐに利用できなくなり、残っていたクレジットは他のメンバーに移りません。空いた席には新しいメンバーを招待できます。外したメンバーのアカウント内のプロジェクトを会社側が引き継ぐ方法は、ヘルプセンターに記載がありません。成果物は社内の共有ドライブへ書き出して保存する運用にしておくと、退職時に困りません。

4. Genspark の危険性は何か:事実と対策

Genspark の法人利用で注意すべき点は、主に「Team では個人データを扱えない」「データが米国に保存される」「紛争は米国の仲裁で解決する」「損害賠償に上限がある」の4つです。多くはプランの選択と社内ルールで管理できますが、準拠法や賠償上限のように Team では変更できない条件もあります。公式の規約と契約書から読み取れる事実と対策は次のとおりです。

リスク公式文書にある事実対策
個人データの取り扱いTeam は DPA が無く、個人データを送信できない(第2章)個人データを入れる業務は Enterprise+DPA
データが海外に置かれるTeam のデータは米国(US-West)に保存。プライバシーポリシーは、個人データが米国で保存・処理されうると記載し、保存先を Microsoft Azure としている保存地域を指定したい場合は Enterprise で米国・EU・アジア太平洋から選び、注文書に明記する
外部の AI 事業者への送信入力内容は機能に応じて OpenAI、Anthropic、Google、xAI、ElevenLabs などの事業者へ送られる(プライバシーポリシー)ヘルプセンターは、法人プランでは再委託先に学習させない契約があると説明(第6章)。送信先の一覧を契約時に確認する
紛争時の管轄利用規約と Team 契約書はいずれもカリフォルニア州法に準拠し、紛争は米国仲裁協会(AAA)の仲裁で解決する日本法準拠を求める場合は Enterprise の交渉項目にする
損害賠償の上限Team 契約書は、責任の上限を直前12か月に支払った(または支払うべき)料金の額としている失っても困らないデータ・業務から使う。重要データは社内にも保存する
会社名の公表Team 契約書第12.6条は、Genspark が顧客の社名とロゴを顧客一覧や広告に使えると定めている公表を避けたい会社は Enterprise の契約交渉で除外を求める
返金されないTeam・Enterprise とも返金なし。Enterprise の解約は60日前通知最初は Team の少人数・月単位で試し、効果を確かめてから広げる
管理者が中身を監査できない管理者はメンバーのプロンプトや生成物を閲覧できない入力してよい情報の区分を社内ルールで決め、研修で徹底する
規約の変更利用規約は予告なく変更されうる(重要な変更は30日前の通知に努めるとしている)更新日を四半期ごとに確認する担当者を決める。Team 契約書では、利用規約・プライバシーポリシーの変更のうち Genspark が重大と判断したものは30日前に書面で通知され、解約を選べる

「中国の会社だから危ない」は正しいか

Genspark の運営主体は、MainFunc Inc. と、その完全子会社の Genspark Inc. です(Genspark 利用規約、2026年4月2日更新)。報道では MainFunc は米国企業とされ(ITmedia AI+ は「米MainFunc」と表記)、ソースネクストのプレスリリースは Genspark Inc. の本社をカリフォルニア州としています。Team 契約書の当事者は Genspark Inc. で、準拠法はカリフォルニア州法です。

創業者について、Genspark 日本公式ブログは CEO のエリック・ジン氏を Microsoft Bing の立ち上げメンバー、CTO のカイ・ジュー氏を Google 検索にディープニューラルランキングを導入した人物と紹介しています(Genspark 日本公式ブログ「Gensparkとは?」)。中国メディアの TMTPost は、ジン氏を Baidu(百度)グループの元副総裁で Xiaodu Technology(小度)の元 CEO、ジュー氏を Xiaodu の元 CTO と報じています(TMTPost)。

判断の材料にすべきなのは、創業者の出身ではなく、契約の相手方、データの保存場所、再委託先、契約条件です。これらは上の表のとおり公式文書で確かめられます。Genspark Inc. は米国法人のため、米国の法令に基づく正式な開示要請の対象にはなりえます。プライバシーポリシーには、法令や当局の正当な要請に応じて開示する場合があり、不適切と考える要請には異議を唱えると書かれています。

日本法人と契約の相手方

2026年1月28日、MainFunc は日本市場での本格展開と日本法人 Genspark(東京都港区)の設立を発表しました(ITmedia AI+)。国税庁の法人番号公表サイトには Genspark株式会社(法人番号 1010501054022、東京都港区虎ノ門) が登録されています。法人番号の指定日は2025年5月8日で、法人自体は2026年1月の発表より前から存在していました(国税庁 法人番号公表サイト)。

ただし Web で申し込む Team の契約相手は米国の Genspark Inc. です。取引先登録の都合で日本法人との契約を希望する場合、それが可能かどうかは公開情報からは分かりません。Enterprise の見積もりを依頼する際に、契約主体と請求元をあわせて確認してください。

個人情報保護委員会の注意喚起との関係

個人情報保護委員会は2023年6月2日、生成 AI サービスに個人データを含むプロンプトを入力する事業者に対し、本人の同意なく入力した個人データが応答の出力以外の目的で扱われる場合は法律違反となる可能性があるとして、「当該個人データを機械学習に利用しないこと等を十分に確認すること」を求めました(個人情報保護委員会「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」)。

学習に使わないことの契約上の根拠は、第6章のとおり Enterprise で結ぶ DPA です。また「学習されないから Team に顧客情報を入れてよい」とはなりません。Team では契約上、個人データの入力そのものが認められていないからです。海外の事業者に個人データを渡す場合の扱いを含め、個人データの利用は法務部門の確認を経てください。

5. SOC 2 Type II/ISO 27001 の取得状況

Genspark は SOC 2 Type II の報告書と ISO 27001:2022 の認証を取得しています。ヘルプセンターの比較表では Team・Enterprise のどちらも「取得済み」とされ、MainFunc は2026年1月28日の日本市場への本格展開の発表と同時に、この2つの認証の取得を公表しました(ITmedia AI+ 2026年1月28日)。

SOC 2 Type II は、米国公認会計士協会(AICPA)の基準に基づき、独立した監査人がセキュリティ管理が一定期間にわたって運用されていたかを評価した報告書です。ISO 27001 は、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格に基づく認証です。

法人の審査で注意したいのは、「取得している」ことと「報告書を読めること」は別という点です。

確認したいもの入手方法
取得の事実ヘルプセンター(両方)、日本語の法人向けページ(SOC 2 Type II。一般公開用の SOC 3 報告書=SOC 2 の要約版で一般公開用、も提供と記載)
Trust Portal(認証の一覧、侵入テスト報告書など)ヘルプセンターに、Vanta(セキュリティ認証の管理サービス)上の公開ページへのリンクがある。Team でも閲覧可とされている
SOC 2 Type II の監査報告書本体Enterprise 顧客が NDA を結んだうえで担当者から入手
自社向けの侵入テスト報告書Enterprise で依頼可能
GDPR への対応ヘルプセンターでは「対応を進めている段階」と記載

社内のベンダー審査で SOC 2 報告書の提出を必須にしている会社は、Team ではその条件を満たせない可能性があります。審査票の記入に必要な資料の範囲を、見積もりの段階で営業担当に伝えてください。Enterprise では、セキュリティ審査の質問票への回答支援も料金ページに明記されています。

6. 学習利用・データの保存先・保持期間

Genspark の公式ページは、法人プラン(Team/Enterprise)の入力データを AI の学習に使わないと説明しています。保存先は Microsoft Azure 上で、契約終了から30日後に削除されます。以下、それぞれの根拠と、契約書で確かめられる範囲です。

入力したデータは AI の学習に使われるか

ヘルプセンターによると、Team・Enterprise のアカウントは自動的にモデルの学習から除外され、プロンプトや内容が Genspark のモデルの学習に使われることはありません。再委託先の OpenAI・Anthropic・Google とも学習させない契約を結んでおり、該当する場合はデータを保持しない取り決め(ゼロデータ保持)もあるとしています。サービス改善のための利用も初期状態では無効です。

ただし、これを契約書で確かめられるかはプランで異なります。Team 契約書の本文には学習に使わないという条項がありません。Team 契約書が組み込んでいる利用規約には、別途の書面合意がない限り、サービスの提供に合理的に必要な範囲で、運営・宣伝・改善や新サービスの開発のために利用者のコンテンツを使う許諾があります。一方で Team 契約書は、利用規約と衝突する場合は契約書が優先するとし、第4.3条で顧客データに対する Genspark の権利をサービス提供のための限定的なものにとどめています。どちらの定めが学習や改善への利用に適用されるかは明記されていません。ヘルプセンターは学習不使用の根拠を DPA としていますが、Team では DPA が提供されていません。学習に使わないことを契約で担保したい場合は、Enterprise の DPA に明記してください。

個人向けプランについては、公式の説明が2つあります。法人向け料金ページのよくある質問は「Free から Enterprise まで、どのプランでも学習に使わない」と回答しています。一方、Genspark 日本公式ブログ(2026年6月12日時点の料金を掲載した記事)は、会話データを AI の改善に使うかどうかを利用者がオプトアウト設定で選べると説明しています。業務で個人向けプランを使う場合は、設定画面で改善への利用が無効になっていることを確認し、機密情報は入れない運用にしてください。

データはどこに保存されるか

項目内容出典
クラウド基盤Microsoft Azureプライバシーポリシー
Team の保存地域米国(US-West)ヘルプセンター
Enterprise の保存地域米国・EU・アジア太平洋から選択ヘルプセンター
暗号化保存時 AES-256-GCM、通信時 TLS 1.3 推奨・TLS 1.2 以上に対応ヘルプセンター
顧客データの権利顧客に帰属。Genspark はサービスの知的財産を保持ヘルプセンター、Team 契約書第4.2条・第4.3条

保存地域の選択肢に「日本」は明記されていません。国内保存が条件の業務では、Enterprise の交渉で「アジア太平洋」の具体的な所在地を確認してください。

保持期間と削除

  • 契約終了後: アカウントデータは終了から30日後に削除され、バックアップは削除後90日間保持されます(ヘルプセンター)。
  • アカウントを閉じた場合: 30日以内にサーバーから削除するとプライバシーポリシーに書かれています。
  • Enterprise の追加対応: 削除の証明、訴訟に備えたデータの保全(リーガルホールド)、削除期限の延長を依頼できます。

7. 契約前チェックリスト(20項目)

情報システム部門・法務・経理が契約前に確認する項目です。稟議書の添付資料としてそのまま使えます。

【契約形態】
□ 1. 利用人数は150名以下か(超える場合は Enterprise)
□ 2. 契約の相手方(Genspark Inc. か日本法人か)と請求元を確認した
□ 3. 支払い方法(Team=カード/Enterprise=振込・請求書)が経理規程に合う
□ 4. 月間クレジット数を書面で確認した(公式ページ間で記載が異なるため)
□ 5. 解約条件を確認した(Team=いつでも/Enterprise=60日前通知・通常36か月)

【データと個人情報】
□ 6. 個人データを入力する業務の有無を洗い出した
□ 7. 個人データを入れる場合、Enterprise で DPA を締結する
□ 8. データ保存地域(Team=米国/Enterprise=選択)が社内規程に合う
□ 9. 学習に使わない条件が契約書(Enterprise は DPA)に書かれているか、再委託先(AI 事業者)の一覧とあわせて確認した
□ 10. 契約終了後の削除時期(30日)とバックアップ保持(90日)を把握した

【認証と監査】
□ 11. ベンダー審査で SOC 2 報告書の提出が必須か(必須なら Enterprise+NDA)
□ 12. Trust Portal で認証と侵入テストの情報を確認した
□ 13. ログイン履歴・利用ログが必要か(必要なら Enterprise)

【アカウント管理】
□ 14. SAML SSO が Team で使えるかを管理画面または書面で確認した
□ 15. 会社のメールアドレスでアカウントを作る運用にした
□ 16. 個人契約の Plus/Pro を参加前に解約するよう周知した
□ 17. 退職・異動時のメンバー削除の担当者を決めた

【契約条件】
□ 18. 準拠法(カリフォルニア州法)と仲裁条項を法務が確認した
□ 19. 社名・ロゴの公表条項(Team 契約書第12.6条)への対応を決めた
□ 20. 損害賠償の上限(直前12か月の料金額)を踏まえ、重要データを社内にも保存する

8. 社内利用ルールのひな形

Team から始める会社向けの、最小限の社内ルールです。Team では個人データを入れられないため、入力してよい情報の区分を最初に決めることが中心になります。

区分例TeamEnterprise(DPA 締結後)
公開情報自社サイトの内容、公開済みの資料、業界ニュース可可
社内の一般情報個人名を含まない議事メモ、企画のたたき台可可
社外秘未公開の売上、価格表、提案中の条件部門長の承認時のみ部門長の承認時のみ
個人データ顧客名簿、問い合わせ内容、社員の評価不可法務が認めた業務のみ
認証情報パスワード、API キー、秘密鍵不可不可

あわせて次の3点を決めておくと、運用が回ります。

  • 成果物の確認: AI が作った資料や数値は、社外に出す前に担当者が出典を確認する
  • 外部連携の範囲: Google Drive や Slack などのコネクタは組織全体で一括設定になるため、有効にする連携を情報システム部門が決める
  • 定期確認: 利用規約・プライバシーポリシーの更新日を四半期ごとに確認する

生成 AI の社内ルール全体の設計は AIガバナンスのフレームワーク で、入力を悪用する攻撃への備えは プロンプトインジェクション対策 で解説しています。

9. 小さく始める導入の進め方と稟議書

Genspark の法人導入は、個人データを扱わない部署で Team を試し、効果と課題を確かめてから範囲を広げるのが安全です。Team は月単位で解約でき、席数の追加は即日、削減は次の請求月から反映されるため、試行に向いています。

4つの段階

段階期間の目安やること次に進む条件
1. 試行1〜2か月公開情報だけを扱う部署(企画・広報・マーケティング等)の数名で Team を契約する週あたりの作業時間の削減が確認できた
2. ルール整備試行と並行入力区分の表、成果物の確認手順、コネクタの設定方針を決める情報システム部門と法務がルールを承認した
3. 部署展開3〜6か月同じルールのまま利用部署を増やし、席数を調整する利用者が増えてもルール違反が起きていない
4. 全社・個人データ業務契約交渉後個人データを扱う部署や151名以上の展開では Enterprise に切り替え、DPA・保存地域・ログを契約で固めるDPA とベンダー審査が完了した

Team の管理画面で見られるのは主に席ごとのクレジット利用量で、入力内容は見られません。作業時間の削減は、試行前後で同じ種類の作業にかかった時間を利用者に記録してもらう形で測ります。

稟議書のひな形

段階1の Team 試行を想定したひな形です。空欄を自社の内容で埋めてください。

件名:生成AIワークスペース「Genspark Team」の試行導入について

1. 目的
   ・___部の調査・資料作成業務の時間削減(目標:1人あたり週___時間)

2. 契約内容
   ・プラン:Genspark Team(Master Subscription Agreement(Team Plan)に同意)
   ・契約相手:Genspark Inc.(米国カリフォルニア州)
   ・席数:___席(管理者を含む)/料金:1席あたり月額30米ドル
   ・期間:月単位(いつでも解約可、返金なし)
   ・支払い:法人クレジットカード

3. 扱う情報の範囲
   ・公開情報および個人名を含まない社内情報に限る
   ・個人データは入力しない(Team 契約書 第3.5条:DPA 締結前の個人データ送信禁止)

4. セキュリティ
   ・SOC 2 Type II/ISO 27001:2022 取得
   ・法人プランは入力データをAIの学習に使わないと公式ヘルプセンターが説明(Team 契約書本文には条項なし)
   ・データ保存地域:米国(US-West)

5. リスクと対策
   ・管理者は入力内容を閲覧できない → 入力区分の社内ルールと研修で統制
   ・準拠法はカリフォルニア州法、責任上限は直前12か月の料金額 → 重要データは社内にも保存
   ・社名・ロゴの公表条項(第12.6条)→ 対応方針:___

6. 評価と次の判断
   ・___か月後に効果を報告し、部署展開または Enterprise 移行を判断する

10. よくある質問

11. まとめ

Genspark を法人で使うときの判断は、次の順番で進めると迷いません。

  1. 個人データを入れる業務があるかを最初に決める。あれば Enterprise と DPA が前提。
  2. 支払い方法と人数で Team か Enterprise かを決める。Team はカード払い・150名まで。
  3. 公式ページ間で食い違う項目(クレジット数、Team の SSO)を書面で確認する。
  4. 個人契約からの移行は、解約してから招待を受ける順番で進める。
  5. 社内ルールで入力してよい情報を区分し、四半期ごとに規約の更新を確認する。

Genspark の機能と業務での使い方は Gensparkとは?できること・使い方 で、プランごとの費用は Genspark 料金プラン比較 で解説しています。

導入の判断を一緒に進めたい方へ

koromo では、Genspark を含む生成 AI ツールの選定、社内ルールの整備、稟議資料の作成、導入後の運用の見直しを支援しています。社内に AI の責任者を置く考え方は CAIO(最高AI責任者)の役割 を参照してください。

AI導入支援サービスの詳細を見る

koromo からの提案

AIツールの導入判断は、突き詰めると「投資対効果が合うか」「リスクを管理できるか」「事業にどう効くか」の3点に帰着します。koromo では、この判断に必要な材料を整理するところからご支援しています。

以下のような状況にある方は、まず現状の整理だけでも前に進むきっかけになります。

  • AIで開発や業務を効率化したいが、自社に合う方法がわからない
  • 社内にエンジニアがいない / 少人数で、AI導入の進め方に見当がつかない
  • 外注先の開発会社にAI活用を提案したいが、何を求めればいいか整理できていない
  • 「AIを使えばコスト削減できるはず」と感じているが、具体的な試算ができていない

ツールを使った上で相談したい方はお問い合わせフォームから「AI活用の相談」とご記載ください。初回の壁打ち(30分)は無料で対応しています。

無料で相談する

関連記事