Codexは無料でどこまで使える?無料枠の境界と「いつまで」の答え【2026年9月版】
Codexは2026年9月時点でChatGPT Freeプランでも使えます。OpenAIが「期間限定」の但し書きを削除した時期を公式文言の変更履歴で特定し、無料で止まる5つの壁、公表されていない利用上限の測り方、商用利用の可否、無料枠が尽きた後の5つの選択肢までを一次情報で整理します。

2026年9月時点で、CodexはChatGPTの無料プラン(Free)でも使えます。 有料プランに入らないと触れない、という説明はもう現状と合っていません。
ただし、この話題には厄介な事情があります。2026年9月2日に「Codex 無料」で検索したところ、上位に並ぶ日本語記事の多くと、Googleの生成AIによる要約(AI Overview)が、2026年2月2日の発表文にあった「期間限定」という言葉を、いまも現在形で伝えていました。実際にはOpenAIは、その但し書きを数か月前に公式ドキュメントから外しています。
本記事は、その食い違いを推測ではなく公式ページの記載がいつどう変わったかという記録で解きほぐします。そのうえで、無料でどこまでできるのか、どこで止まるのか、止まったら何を選べばいいのかを、OpenAIの一次情報だけを根拠に整理します。
なお本記事は「無料の範囲」に射程を絞っています。Plus・Pro・Business・Enterpriseを横断した価格比較、API直契約との損益分岐点、他社ツールとの料金比較といった「どのプランを買うべきか」の判断材料は、Codexの料金プラン7プラン横断比較で扱っているため、本記事では繰り返しません。逆に無料枠まわりの条件については、本記事の記載が最新です(当サイトの他記事を含め、2026年前半に書かれた解説は後述の変更を反映できていません)。Codexそのものの定義や2021年の旧Codexとの違いはCodexとは何か(OpenAIのAIコーディングエージェント)をご覧ください。
本記事の情報はすべて2026年9月2日に取得したものです。 無料枠の条件はOpenAI側の判断で頻繁に変わります。実際に契約や社内展開を判断する前には、必ず後述の「公式情報を自分で確認する手順」に従って最新の状態を確かめてください。
この記事の要点(Key Takeaways)
- Codexは2026年9月時点でFree・Goを含む全ChatGPTプランに含まれる。 OpenAIのヘルプセンターは「Codex is included across ChatGPT plans, including Free and Go.(CodexはFreeとGoを含むChatGPTの各プランに含まれます)」と記載している
- 「期間限定」という但し書きは、2026年5月29日から6月2日の間に公式ヘルプから削除された。 削除前後のページを実際に突き合わせて確認した。SERP上位とAI Overviewは、この変更を反映していない
- ただし「削除された」は「恒久的に無料と保証された」ではない。 OpenAIは無期限提供を明言していない。恒久化の約束ではなく、期限の告知が取り下げられた状態と理解するのが正確
- OpenAIはFree・Goの利用上限を数値で公表していない。 確認した3つの公式ページのいずれにもFree・Goの数値がなく、料金ページの2つの表はどちらも列がPlusから始まる。日本語記事に頻出する「1日数回」に一次ソースは存在しない
- 無料で使えるモデルはGPT-5.6 Terraに固定される。 Sol・Lunaの選択と
ultra設定はPlus以上。ただしmax設定は無料でも使える - 無料でも成果物の権利は利用者に帰属する。 利用規約は出力の所有権をプラン別に区別していないため、「無料だから商用利用不可」は誤り
- 無料で止まるのは5領域。 画像生成・Sites・クラウド連携(GitHub自動レビュー / Slack / Linear)・組織管理機能・モデルの使い分け
- 無料プラン固有の法的な不利は、商用利用の可否ではなく賠償責任の上限にある。 支払額0円のユーザーに対するOpenAIの責任上限は条項上100ドル
本記事の更新方針: 本記事は定期的に内容を見直しています。記事内の判断軸・運用パターンは執筆時点での koromo の実務的知見に基づくものであり、個別環境での効果を保証するものではありません。仕様の最新情報は必ず OpenAI 公式「Pricing」(Codex 料金・利用上限の一次ソース) をご確認ください。
結論 — 2026年9月時点、CodexはFreeプランでも使える
まず現在の公式記載を確認します。OpenAIのヘルプセンター記事「Using Codex with your ChatGPT plan」には、次の一文があります。
Codex is included across ChatGPT plans, including Free and Go. Usage limits vary by plan.
(CodexはFreeとGoを含むChatGPTの各プランに含まれます。利用上限はプランによって異なります)
出典:OpenAI Help Center「Using Codex with your ChatGPT plan」。2026年9月2日にブラウザで直接確認。記事上部の更新表示は「一昨日」でした。
料金ページ側の記載も一致しています。
ChatGPT Work and Codex are included in your ChatGPT Free, Go, Plus, Pro, Business, Edu, or Enterprise plan
(ChatGPT WorkとCodexは、ChatGPTのFree・Go・Plus・Pro・Business・Edu・Enterpriseの各プランに含まれます)
出典:OpenAI「Pricing」、2026年9月2日取得。
そして重要なのは、この2つの記載のどちらにも「期間限定」に相当する語がないことです。かつては、あったのです。
「期間限定」はいつ消えたのか — 公式文言の変更を時系列で追う
「Codex 無料」で検索したとき、上位記事の多くとGoogleのAI Overviewは「期間限定のプロモーション」と説明します。この表現の出どころは特定できます。2026年2月2日にOpenAIが公開した「Introducing the Codex app」です。
For a limited time we're including Codex with ChatGPT Free and Go, and we're doubling the rate limits on Plus, Pro, Business, Enterprise, and Edu plans.
(期間限定で、CodexをChatGPT FreeとGoに含めます。またPlus・Pro・Business・Enterprise・Eduの各プランではレート制限を2倍にします)
出典:OpenAI「Introducing the Codex app」(2026年2月2日)。
この時点では、確かに「期間限定」でした。問題は、その後どうなったかです。ヘルプセンター記事「Using Codex with your ChatGPT plan」の過去の版を時系列で突き合わせると、変更の時期が絞り込めます。
| 確認時点 | 公式ヘルプの記載 |
|---|---|
| 2026年2月3日 | For a limited time Codex is included with ChatGPT Free and Go, and all other plans enjoy 2x rate limits.(注記2箇所でも「期間限定」を明示) |
| 2026年5月6日 | 同上(「期間限定」の記載が継続) |
| 2026年5月29日 | 同上(この時点ではまだ「期間限定」がある)。ただし同じページ内に「Codex is included in eligible ChatGPT plans, including Free.」という但し書きのない文も併存しており、新旧が混在する過渡状態 |
| 2026年6月2日 | Codex is included across Free, Go, Plus, Pro, Business, Edu, and Enterprise plans. The 2x/boost promotion is specific to Pro tiers through May 31, 2026. → 「期間限定」が消えた。代わりに2倍化の方に、Pro tier向け・5月31日までという記載が事後的に現れた |
| 2026年6月14日 | Codex is included across Free, Go, Plus, Pro, Business, Edu, and Enterprise plans. Usage limits and credit options vary by plan.(2倍化の記述も消滅) |
| 2026年8月13日 | Codex is included across ChatGPT plans, including Free and Go. Usage limits vary by plan. |
| 2026年9月2日(ライブ確認) | 同上 |
つまり、Free・Goへの提供にかかっていた「期間限定」の但し書きは、2026年5月29日から6月2日の間に公式ヘルプから外されました。 本記事執筆時点で、そこから3か月が経過しています。
同時に読み取れることがもう一つあります。2月の発表で「期間限定」の対象は2つ束ねられていました。(1) Free・Goへの提供と(2) 有料プランのレート制限2倍化です。この2つは、その後まったく違う辿り方をします。
(2)については、6月2日版に「2x/boostのプロモーションはPro tier向けで2026年5月31日まで」という記載が現れました。ただし注意が必要です。2月の発表は期限の日付を一切示しておらず、5月31日という日付は6月2日版になって事後的に出てきたものです。しかも2月時点の対象は「Plus・Pro・Business・Enterprise・Edu」だったのに、6月2日版では「Pro tier」に狭まっています。Plusなどの2倍化がいつどう終わったのかは、公式文書からは追えません。
(1)については、終了の告知が一度も出ないまま、但し書きだけが消えました。束ねられていた2つのうち、片方は事後的に期限が示されて姿を消し、もう片方は期限の記載ごと静かに外された、というのが記録から言えることです。
「消えた」を「恒久的に無料」と読み替えてはいけない
ここは慎重に扱う必要があります。但し書きの削除は、次のいずれをも意味しません。
- OpenAIが無料提供を恒久化すると約束した
- 今後Free・Goから外れることがない
- 利用上限が今後も変わらない
確認できるのは「2026年9月2日現在、公式ドキュメントに終了予定は書かれていない」という事実だけです。逆に言えば、「もうすぐ終わるから急いだほうがいい」という主張にも、現時点で公式の根拠はありません。終わる根拠も、続く保証も、どちらも公式には存在しない――これが正確な現在地です。
実務上の意味はこうなります。無料での試用に期限を気にする必要は、少なくとも公表情報の範囲では今のところありません。一方で、業務プロセスに組み込んで「無料前提」で設計するのは、依然としてリスクを取る判断です。この差は、後述の判定表で切り分けます。
なぜ「期間限定」の情報が消えないのか
公式が3か月前に但し書きを外したのに、なぜ検索結果は「期間限定」で埋まっているのでしょうか。理由は単純で、「期間限定」という文言が、いまも公式サイト内に残っているからです。
OpenAIのChangelog(更新履歴)には、2026年2月2日付のエントリとして次の記述が残っています。
For a limited time, ChatGPT Free and Go include Codex, and Plus, Pro, Business, Enterprise, and Edu plans get double rate limits.
出典:OpenAI「Changelog」、2026年9月2日取得。
これは誤りではありません。更新履歴は「その日に何が起きたか」の記録であり、2月2日時点の告知内容として正確です。歴史的記録なので、後から書き換えないのがむしろ正しい運用です。
問題は読み手側で起きます。日付つきで、公式ドメインにあり、検索でも引っかかる。この3条件が揃っているため、現行の説明ではなく履歴エントリのほうが「公式の根拠」として引用されてしまうのです。いったん記事に書かれると、その記事がまた次の記事に引用され、AI Overviewのような自動要約がそれをまとめる、という再生産の連鎖が起きます。
再生産の経路はもう一つあります。URLの移転です。現在の料金ページは、以前の案内先だった developers.openai.com/codex/pricing からの転送先で、旧URLにアクセスすると308(恒久的リダイレクト)でこのページへ飛ばされます。つまり古い記事が旧URLを引用していても、リンクは切れません。切れないまま、引用時点の記述と現在の記述が別物になっているという状態が生まれます。リンクが生きていることは、その記事の記述が最新であることを何ら保証しません。
情報を確認するときの実務的な教訓は明確です。OpenAIの公式ドメイン内であっても、「日付つきの発表・更新履歴」と「現行の仕様ページ」は別物として扱う。 現在の条件を知りたいなら、参照すべきは料金ページとヘルプセンター記事であって、発表ブログやChangelogではありません。
無料でどこまでできるか — 公式が明言していることだけで線を引く
ここからが本題です。「無料でどこまで」を語る記事は多いのですが、その多くは出典を示しません。ここでは公式が明言している範囲だけを積み上げます。
使えるモデルは GPT-5.6 Terra に固定される
GPT-5.6の発表ページには、「ChatGPT Work and Codex:」という見出しの直下に次の記載があります。
Free and Go users access GPT‑5.6 Terra. Plus, Pro, Business, and Enterprise users can choose among GPT‑5.6 Sol, Terra, and Luna and set an effort level for each.
(Free・GoのユーザーはGPT-5.6 Terraを利用します。Plus・Pro・Business・Enterpriseのユーザーは、Sol・Terra・Lunaから選択し、それぞれに推論の強度を設定できます)
出典:OpenAI「GPT-5.6」(2026年7月9日公開)、2026年9月2日取得。
ひとつ断っておきます。本記事は前章で「現在の条件は発表ブログではなく料金ページとヘルプセンターで確認すべき」と書きました。この1点だけは、その例外です。料金ページにもヘルプセンターにも、Free・Goがどのモデルを使えるかの記載そのものがないためです(後述のとおり、両者ともFree・Goの行や列を持ちません)。発表ページを根拠に使うのはここだけで、同ページは2026年8月21日付の更新が追記されており、現在も保守されている文書です。
そのうえで、無料ではモデルを選べません。Terra固定です。 これは制約であると同時に、そこまで悪い話でもありません。OpenAIは料金ページでTerraを「日常的な実務の主力(the everyday workhorse)」と位置づけ、フラッグシップのSolは「最も難しい仕事(the hardest work)」向けと説明しています。日常的なコーディング補助であれば、Terraは想定された用途の中心にあります。
推論の強度設定については、同じページに続きがあります。
maxis available to all users with access to GPT‑5.6 in ChatGPT Work and Codex and can be toggled on in settings. In ChatGPT Work,ultrais available to Pro and Enterprise users. In Codex, it is available to Plus and higher plans.
読み解くと、max は無料でも設定から有効にできるが、ultra はCodexではPlus以上、ということになります。難しい問題に対して思考時間を延ばす手段が、無料でも一段階は残っている、と理解しておくとよいでしょう。
そしてこのTerra固定には、追い風の可能性があります。2026年7月30日、Terraは20%値下げされ、その分が有料サブスクリプションの消費量にも反映されました。
ChatGPT and Codex subscription prices and quota budgets remain unchanged, while Terra and Luna usage now consumes fewer credits.
(ChatGPTおよびCodexのサブスクリプション価格と枠の予算は変わりませんが、TerraとLunaの利用は消費するクレジットが少なくなりました)
出典:OpenAI「Advancing the price-performance frontier with GPT-5.6」(2026年7月30日)、2026年9月2日取得。
読み替えると、枠の「大きさ」は変わっていないのに、同じ枠でこなせる仕事量が増えたということになります。
ただし、ここは正確に書きます。同じページの別の箇所は、この反映先を「how usage is counted against paid subscriptions(有料サブスクリプションに対する使用量の数え方)」と限定しています。Freeは有料サブスクリプションではないため、同じ恩恵が無料枠にも及ぶとは公式には明記されていません。 無料ユーザーが使うモデルがまさにTerraである以上、可能性としては十分にありますが、そこは確認できない領域として扱ってください。なお同ページは「In ChatGPT Work and Codex, Free and Go users can access Terra」とも記しており、Terra固定の裏づけはここでも取れます。
入口ごとの制限は、公式には示されていない
Codexには複数の入口があります。ChatGPTデスクトップアプリのCodexモード、Codex CLI、IDE拡張、Codex web、そしてAPIキー経由です。ヘルプセンターのサインイン手順は、プランによる入口の出し分けを書いていません。手順は「ChatGPTアカウントでサインインし、好みのCodexクライアントを起動する」という共通のもので、その直前に「FreeとGoを含む各プランに含まれる」と書かれています。
したがって、CLIだけ有料、といった入口単位の壁は公式には示されていません。 ただしこれは「制限がないと明記されている」のではなく「制限が書かれていない」という状態です。次節の利用上限と同じく、沈黙を根拠にしている点は意識しておいてください。実際にどの入口から始めるかはCodexアプリの入手と使い方で扱っています。
利用上限は「公表されていない」
そして、ここが本記事で最も強調したい点です。
OpenAIの料金ページには、モデル別・プラン別の利用上限表があります。その列は次のとおりです。
Plus / Pro 5x / Pro 20x / Business / API Key
Free と Go の列がありません。
同じページにある機能別の対応表(Feature availability)も同様で、列は Plus / Pro / Business / Enterprise・Edu / API Key の5つです。Free・Goに該当する列は存在しません。 さらにプランカード自体を見ても、Free と Go は価格と一行の説明文(Freeは「Explore Codex capabilities on quick coding tasks.」=手早いコーディングタスクでCodexの機能を試す)だけで、機能の箇条書きはPlusから始まります。
ヘルプセンターの記述も「Usage limits vary by plan.(利用上限はプランによって異なります)」までで、Free・Goの具体的な数値には踏み込んでいません。
結論として、2026年9月2日時点で確認した3つの公式ページ――英語版の料金ページ、日本語版の料金ページ、ヘルプセンター記事「Using Codex with your ChatGPT plan」――のいずれにも、Free・GoのCodex利用上限を示す数値はありません。
これは「情報が見つからなかった」ではなく、「公式の一覧表に該当欄が用意されていない」という構造的な事実です。次章で述べるとおり、この点が実務判断を大きく左右します。
無料で止まる5つの壁
公式に明記されている、Free(および多くはGo)での制約を整理します。推測は含めず、記載のあるものだけを挙げます。
壁1:画像生成が使えない
料金ページに明記があります。
Image generation isn't available on the Free plan.
(画像生成はFreeプランでは利用できません)
UIのスクリーンショットを読ませて修正させる、といった使い方の一部が制限されます。なお有料プランでも画像生成は「同程度の処理に比べて利用枠を平均3〜5倍速く消費する」と同ページに記載があり、枠の消費が重い機能である点は共通です。
壁2:Sites が使えない
ヘルプセンターに明記があります。
Sites is available on paid ChatGPT plans except Free and Go in supported regions.
(SitesはFreeとGoを除く有料のChatGPTプランで、対応地域において利用できます)
Codexに指示してWebサイトを生成・公開する機能は、無料の範囲外です。なおこの機能は対応地域の制約もあり、欧州経済領域・スイス・英国では現時点で提供されていません。
壁3:クラウド側の連携機能が範囲外
Feature availability表がPlus以上しか列を持たないため、そこに並ぶ機能群は無料での提供が公式に示されていません。具体的には次のようなものです。
- GitHubでの自動コードレビュー、
@codexによるIssue・PRの委任 - Slack連携、Linear連携
- Codex cloud(クラウド側でのバックグラウンド実行)とクラウド環境のセットアップスクリプト
ひとつ紛らわしい点を整理しておきます。「入口ごとの制限」の節で挙げた「Codex web」と、ここでいう「Codex cloud」は別物です。前者はブラウザからCodexにサインインして使うという接続の入口、後者はOpenAI側の環境でタスクを実行させる機能を指します。Feature availability表に列があるのは後者のほうです。
これらは「ローカルで動かす」のではなく「OpenAI側の環境で動かす」機能です。CI/CDに組み込む用途を考えている場合、無料の範囲では成立しないと見ておくのが安全です。GitHub Actionsとの連携を具体的に検討する段階であれば、CodexとGitHub Actionsの自動化が参考になります。
壁4:組織で使うための管理機能がない
SAML SSO、MFA、ワークスペースのユーザー管理、RBAC、SCIM、監査ログ、Compliance APIといった管理機能は、いずれも無料の範囲外です。
ここは「無料だと不便」ではなく、組織導入の要件を満たさないという質の違う制約です。個人が自分の判断で試す分には問題になりませんが、会社の資産であるコードを扱わせるなら、無料プランは選択肢に入りません。
壁5:モデルの使い分けができない
無料がTerra固定であることは前述しました。壁として効いてくるのは、モデルを使い分けるという最適化の手段そのものを失う点です。
有料プランなら、難度の高い設計判断ではSolへ上げ、定型処理はLunaへ落として枠を引き延ばす、という調整ができます。無料にはこの調整幅がありません。次章以降で見るとおり、これは「重い仕事ができない」という以上に、枠が尽きたときに打てる手が1つ減るという形で効いてきます。
「1日数回」説の出どころと、自分の上限を測る方法
日本語の解説記事、そしてGoogleのAI Overviewまでもが、無料枠について「利用回数や量に厳しい上限(1日数回程度)」といった具体的な数値を挙げています。
しかし前述のとおり、OpenAIはFree・Goの上限を公表していません。 2026年9月2日に「Codex 無料」で検索した際のAI Overviewを見ると、この「1日数回程度」という記述に添えられていた典拠は4件すべてが個人・企業のブログ記事で、OpenAIの公式ページは含まれていませんでした。
体感の共有には価値がありますが、社内の稟議資料や導入判断の根拠として転記するのは避けるべきです。 出所が体験談である以上、モデル・タスクの重さ・時期によって容易に変わります。
では、どうすれば自分の実際の枠を把握できるでしょうか。OpenAIが公式に案内している確認手段は3つあります。
手段1:使用状況ダッシュボードを見る
ヘルプセンターは、上限に近づいた場合の確認先として設定画面と使用状況ダッシュボードを案内しています。どの枠を使い切ったのか、クレジット残高、リセット時刻が確認できます。料金ページは「1〜2週間おきにダッシュボードを確認し、自分の消費ペースと残量を把握する」ことを推奨しています。
手段2:CLIで /status を実行する
Codex CLIのセッション中に /status と入力すると、その場で残りの上限を確認できます。ヘルプセンターと料金ページの両方に記載があります。作業の途中で「あとどれくらい動かせるか」を知りたいときに最も速い方法です。
手段3:クレジットの桁感から見積もる
料金ページには、実務的に有用な一文があります。
GPT‑5.6 usage averages 5-30 credits per message.
(GPT-5.6の利用は1メッセージあたり平均5〜30クレジットです)
公開されている単価表を見ると、無料で使えるTerraは出力が入力の6倍重いという構造になっています。つまり「長く書かせる」ほど枠を食います。
ここから言えるのは、消費量は「回数」ではなく「処理量」で決まるということです。同じ1回のやり取りでも、リポジトリ全体を読ませる指示と、1ファイルの数行を直す指示では、消費が桁で違います。
これは推測ではなく、料金ページ自身がそう書いています。「見た目が似たタスクでも、消費する量は異なることがある(Tasks that look similar can consume different amounts of your allowance)」「モデルの選択・文脈・推論・ツール利用・検索・キャッシュのすべてが使用量に影響するため、プロンプトの長さだけでは信頼できる見積もりにならない」。つまり「1日◯回」という数え方は、OpenAIの説明とそもそも噛み合いません。
なお枠の管理単位は5時間のローリングウィンドウです。直近5時間の使用量で判定され、時間の経過とともに回復していく方式です。料金ページは「ChatGPTプランでは、ローカルのメッセージとクラウドのチャットは同じ5時間枠を共有する。加えて週単位の上限が適用される場合がある」と説明しています。ただしこれはChatGPTプラン全体についての説明で、Free・Goの枠がその中でどれだけの大きさなのかは、やはり公表されていません。
無料のまま作業量を伸ばす5つの方法(と、無料では使えない1つ)
利用上限に対して打てる手を、OpenAI自身が料金ページで6つ挙げています。ただし無料プランで実行できるのは、このうち5つです。
- プロンプトのサイズを制御する。 指示は具体的にしつつ、不要な文脈は削る
- 読ませる材料を限定する。 関係するファイルだけを渡し、可能なら範囲や期間を絞る
- 出力を必要な分だけにする。 想定読者・形式・長さを定義し、必須の作業と「できれば」を分ける
- AGENTS.md(Codexに毎回読ませる指示書ファイル)を小さくする。 大きなプロジェクトでは、リポジトリ内で AGENTS.md を階層的に配置して、注入される文脈量を制御する
- MCPサーバーの数を絞る。 MCPサーバーを追加するほどメッセージに文脈が積まれ、上限の消費が増える。使わないサーバーは無効化する
- 軽いモデルへ切り替える。 ただし無料はTerra固定のため、この手だけは無料では使えません
6番目が使えないことは、無料プランの実務的な弱点として認識しておくべきです。有料プランなら定型作業をLunaへ落として枠を大きく引き延ばせますが、無料ではその調整幅がありません。裏を返せば、無料で枠を持たせる鍵は「渡す文脈を減らすこと」に集中します。
5番目のMCPについては、設定を詰めると効果が大きい領域です。具体的な構成方法はCodexのMCP設定ガイドで扱っています。
商用利用はできるのか — 利用規約の条項で確認する
「無料プランで生成したコードを仕事で使ってよいのか」は、実務では避けて通れない論点です。ここは体感ではなく規約の条項で確認します。
OpenAIの利用規約には、次の条項があります。
Ownership of content. As between you and OpenAI, and to the extent permitted by applicable law, you (a) retain your ownership rights in Input and (b) own the Output. We hereby assign to you all our right, title, and interest, if any, in and to Output.
(コンテンツの所有権。あなたとOpenAIの間では、適用法が認める範囲において、あなたは (a) 入力に対する所有権を保持し、(b) 出力を所有します。OpenAIは、出力に対して有するあらゆる権利・権原・利益をあなたに譲渡します)
出典:OpenAI「Terms of use」(米国外向け/ROW版)、2026年9月2日取得。日本のユーザーに適用されるのはこのROW版で、米国版とは文言が異なります。
この条項はプランによる区別を設けていません。 Freeプランのユーザーにも同じように適用されます。したがって「無料プランだから商用利用できない」という説明は、規約の記載とは一致しません。
ただし、無条件ではありません。同じ規約から、実務で効いてくる制約を3つ挙げます。
- 出力を人間が作ったものと偽ってはならない("Represent that Output was human-generated when it was not." が禁止事項として明記)
- 出力をOpenAIと競合するモデルの開発に使ってはならない("Use Output to develop models that compete with OpenAI.")
- 出力の一意性は保証されない。 規約は「出力は一意でない場合があり、他のユーザーが類似の出力を受け取ることがある」と明記し、譲渡は他ユーザーの出力には及ばないとしている
さらに、商用利用そのものより実務で問題になりやすいのが学習利用の扱いです。Codexのヘルプセンター記事は、Business・Enterprise・Eduについては「既定でOpenAIは入力・出力をモデルの改善に使用しない」と明記し、Plus・Proについては「データコントロールで学習をオフにしない限り、会話がモデルの改善に使われる可能性がある」と書き分けています。
Freeプランはこの箇所で名指しされていません。 ただし、同じヘルプセンター記事は「あなたのChatGPTの学習データ設定は、Codexで処理される内容にも適用されます(Your ChatGPT training data controls apply to content processed through Codex)」と述べています。また利用規約には「オプトアウト。 コンテンツをモデルの学習に使われたくない場合は、案内に従ってオプトアウトできます」という、プランを限定しない条項があります。つまりFreeでも学習を止める操作そのものは用意されている、と読むのが妥当です。
無料プラン固有の法的な不利は、別のところにある
所有権では区別されない一方、同じ規約には無料プランが実際に不利になる条項があります。 商用利用を検討するなら、こちらのほうが重要です。
- 賠償責任の上限が条項上100ドルになる。 規約はOpenAIの責任上限を「請求の原因となったサービスに対して直近12か月に支払った額」または「100ドル」の大きい方と定めています。支払額が0円のFreeユーザーでは、条項上は100ドルが上限です
- 有料アカウントを持たない場合、1年以上使っていないアカウントは削除の対象になり得ます(規約は事前通知に触れています)
ただし責任上限については、規約自身が同じ節で留保を置いています。「この制限は適用法が認める最大限度においてのみ適用される」「国や州によっては上記の一部または全部が適用されず、追加の権利を持つ場合がある」。日本の消費者としてどこまで有効かは個別の判断になるため、重要な契約判断では専門家に確認してください。なお出力が「現状有姿(AS IS)」で提供され、その利用が自己責任である点も規約に明記されていますが、こちらは無料固有ではなく全プラン共通です。
したがって実務的な結論はこうなります。無料プランで業務コードを扱うなら、まず設定でモデル学習をオフにする。 そのうえで、顧客の資産や機密を含むコード、あるいは不具合が損害に直結する仕事については、既定で学習除外となる組織向けプランを選ぶのが筋です。学習利用という論点は個人向けプランか組織向けプランかの境界に沿っていますが、責任上限とアカウント保持という論点は、有料か無料かの境界に沿っています。
4軸で判定する「無料のままでいい人/有料に上げるべき人」
ここまでの事実を、判断に使える形へ落とします。「無料で十分」とも「有料にすべき」とも先に決めず、4つの軸で自分の位置を確認してください。
| 軸 | 無料のままで足りる | 有料へ上げる必要がある |
|---|---|---|
| 作業量 | 週に数回、1回あたり数ファイル規模。学習・検証・小さな修正が中心 | ほぼ毎日、まとまった時間を使う。リポジトリ横断の改修や長時間タスクがある |
| レート制限 | 上限に当たっても待てる。締め切りに直結しない | 上限到達が作業停止に直結する。締め切り前に止まると困る |
| 使えるモデル | Terra(日常的な実務の主力)で足りる。max で十分 | 難度の高い設計判断にSolを使いたい/定型処理をLunaへ落として枠を伸ばしたい |
| 商用利用可否 | 自分の案件・個人開発。設定で学習をオフにすれば足りる | 顧客資産や機密を扱う/SSO・既定の学習除外が要件(→ Business以上)/監査ログ・RBAC・SCIMまで要る(→ Enterprise・Eduのみ) |
読み方は単純です。4軸すべてが左側なら、無料のままで問題ありません。 有料に上げても得られるものが小さいためです。
1つでも右側があるなら、そこが上げる理由になります。 ただし理由によって行き先が変わります。作業量・レート制限・モデルが理由ならPlus以上の個人プラン、商用利用可否が理由なら組織向けプラン、という切り分けです。個人プランをチームで人数分契約しても、SSOや監査ログの要件は満たせません。さらに組織向けの中でも、SSOまでならBusiness、監査ログやRBACまで要るならEnterprise / Eduと分かれます。
特に注意すべきは「レート制限」の軸です。 前述のとおり無料の上限は公表されていないため、事前に見積もることができません。 締め切りのある仕事に無料枠を前提として組み込むのは、測定できない変数に依存する設計になります。試用と業務利用の境界は、ここに引くのが現実的です。
具体的にどのプランを選ぶか、月あたりいくらになるか、API直契約とどちらが安いかはCodexの料金プラン徹底比較で、5シナリオのコスト試算と判定フローチャート付きで扱っています。
無料枠が尽きたときの5つの選択肢 — うちサブスクリプションを変えずに取れるのは3つ
上限に達したとき、選択肢は「課金する」だけではありません。料金ページとヘルプセンターの記載から取れる手は5つあり、そのうち1〜3はサブスクリプションを変えないまま取れます。
まず前提として、作業中に上限へ達しても、進行中のターンはそのまま続行できます。 料金ページは「進行中の作業を完了できるようにしたい。アクティブなターンの途中で上限に達した場合、エージェントはそのターンの作業を継続できる(公正利用の範囲で)」と説明しています。作業が途中でぶつ切りにされるわけではありません。
そのうえで、次の5択になります。
- リセットを待つ。 5時間のローリングウィンドウで回復します。リセット時刻は設定画面または使用状況ダッシュボードで確認できます。無料を維持したまま取れる、最も素直な手です
- 渡す文脈を削って再挑戦する。 前章の6つの方法のうち、モデル切り替え以外はすべて無料で実行できます。上限は「回数」ではなく「処理量」で決まるため、指示の作り方で実質的な作業可能量は変わります
- APIキーで追加のローカルチャットを走らせる。 料金ページは「すべてのユーザーは、APIキーを使って追加のローカルチャットを実行できる。利用分は標準のAPI料金で課金される」と明記しています。サブスクリプションを変えずに、使った分だけ払う選択肢です。ただしAPIキー経由ではGitHubのコードレビューやSlack連携といったクラウド側の機能は使えません
- クレジットを購入する。 ただし料金ページが購入できる相手として挙げているのは「Plus・Proのユーザー」と「柔軟な価格設定に対応したBusiness・Edu・Enterprise」であり、Freeプランが対象という記載はありません。 無料のまま追加購入で凌ぐ、という道は現時点で公式には示されていません
- プランを上げる。 前章の判定表で右側に該当する軸があるなら、これが本筋です
3番目のAPIキー併用は、日本語記事であまり触れられていない割に実用的です。無料プランを維持したまま、必要なときだけ従量課金で上乗せするという運用が公式に認められています。無料で使えるTerraのAPI単価は、2026年7月30日以降、100万トークンあたり入力$2 / 出力$12です(同日の値下げ告知より。GPT-5.6公開時の$2.50 / $15から改定されています)。API直契約とサブスクリプションの損益分岐点はCodexの料金プラン徹底比較で扱っています(同記事は2026年5月時点の執筆で、単価はGPT-5.5世代のものです)。
なお、他社ツールの無料枠へ乗り換えるという選択肢もあります。Claude CodeとCodexの使い分けで、両者の判断軸を整理しています。
日本語版の公式ページは、英語版に追いついていない
無料枠の条件は変わります。本記事の情報も2026年9月2日時点のものです。では読者が自分で最新状態を確認しようとしたとき、どこを見ればいいのか。ここに日本語読者にとって実害のある落とし穴があります。
2026年9月2日、日本語版の公式料金ページ(chatgpt.com/ja-JP/codex/pricing/)と英語版(learn.chatgpt.com/docs/pricing)を同じ日に開いて突き合わせたところ、次の差異がありました。
- 日本語版にはFreeプランのカードがない。 プランの一覧がGoから始まっています(英語版にはFreeのカードがあります)。冒頭の文には「Codex は ChatGPT 無料版、Go、Plus、Pro、Business、Enterprise の各プランに含まれています」と書かれているにもかかわらず、です(この文自体も、英語版にあるEduが抜けています)。無料プランの扱いを確認しに来た読者が、最も誤解しやすい形になっています
- 日本語版のFAQが未来形のまま残っている。 「4月2日より、料金体系は API 形式のトークンベース料金に移行します」と、これから起きることとして書かれています。一方の英語版は、トークンとクレジットによる課金を現に動いている仕組みとして説明しています
- GPT-5.6系の利用上限の数値が英語版と一致しない。 GPT-5.5・GPT-5.4・GPT-5.4 miniの数値は両版で一致していましたが、Sol・Terra・Lunaの数値は異なっていました
日本語版が「Free・Goを含む」と明記している点は英語版と一致しており、本記事の結論に影響はありません。ただし数値を根拠として社内で共有するなら、英語版を正とするのが安全です。
見るページの選び方は前述のとおりです。現在の条件は料金ページとヘルプセンター記事、いつ何が変わったかはChangelogと発表ブログ。この2種類を混ぜないでください。そのうえで、自分の枠の実測(使用状況ダッシュボードと /status)だけは、公式が数値を出していない以上、誰も代わりにやってくれません。
よくある質問(FAQ)
まとめ
「Codexは無料で使えるのか」に対する2026年9月2日時点の答えを整理します。
使えます。そして、終了予定は公表されていません。 2026年2月2日の発表にあった「期間限定」の但し書きは、5月29日から6月2日の間に公式ヘルプセンターから削除され、以後3か月にわたり復活していません。検索結果とAI Overviewが「期間限定」と伝え続けているのは、その文言がChangelogの2月2日付エントリとして残り続けているためです。日付つきの記録と現行の仕様ページを区別することが、この種の誤解を避ける唯一の方法です。
ただし「期限が消えた」を「恒久的に無料」と読み替えてはいけません。 業務プロセスに「無料前提」を組み込むのは、依然としてリスクを取る判断です。そして無料の枠がどれだけあるかは、公式には数値が存在しません。自分で測るしかありません。
無料で止まる場所は決まっています。 画像生成、Sites、GitHub・Slack・Linearとのクラウド連携、組織の管理機能、そして上位モデルの選択。この5つに用がなければ、無料の範囲で足ります。
止まっても、打つ手は課金だけではありません。 5時間で回復するのを待つ、渡す文脈を削る、APIキーで必要な分だけ従量課金する――サブスクリプションを変えずに取れる手が3つあります。
判断は4軸で行ってください。 作業量・レート制限・使えるモデル・商用利用可否。すべてが左側なら無料のままで構いません。1つでも右側があれば、それが上げる理由であり、理由によって行き先(Plus以上かBusiness以上か)が変わります。とりわけレート制限の軸は、上限が公表されていない以上、事前に見積もれません。
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