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Gemini 3 Pro CLI 完全ガイド 2026|インストール・全22コマンド・MCP・法人ライセンス・Claude Code/Codex比較まで一気通貫

Gemini 3 Pro 対応の Gemini CLI を、4OS別インストール手順・全22スラッシュコマンド完全リファレンス・MCPサーバー10選・法人ライセンス6プラン比較・データ学習Opt-out・Claude Code/Codex CLI との3軸定量比較で網羅。乗り換え判断軸と失敗パターン5選まで踏み込んだ、CLIユーザーが Gemini に移行する価値を判断するための決定版ガイド。

Gemini 3 Pro CLI 完全ガイド 2026|インストール・全22コマンド・MCP・法人ライセンス・Claude Code/Codex比較まで一気通貫

Gemini CLI は、Google が 2025 年 6 月に Apache 2.0 ライセンスで公開したターミナル向けの AI エージェントです。2026 年 5 月時点の最新版 v0.42.0 では、Gemini 3 Pro / 3.1 Pro を 1M トークンのコンテキストウィンドウで呼び出せ、個人 Google アカウント認証なら 1 日 1,000 リクエスト・1 分 60 リクエストまで完全無料で利用できます。Claude Code / Codex CLI に対して「無料 + 1M コンテキスト + Google 検索統合」という独自ポジションを確立しており、すでに多くの開発チームで「Gemini CLI でリポジトリ全体を読み込み、Claude Code で実装、Codex CLI でレビュー」という三刀流運用が始まっています。

しかし日本語 SERP には「インストールから無料枠まで」を扱う入門記事は多いものの、「Claude Code / Codex CLI ユーザーが乗り換える価値はあるのか」「4OS(macOS / Linux / WSL2 / Windows ネイティブ)のインストールの罠」「全 22 スラッシュコマンドの実務での使い分け」「法人ライセンス 6 プランの選び方」「無料枠のデータ学習リスクと Opt-out 手順」までを一気通貫で解説した記事はほとんどありません。本記事では Google 公式ドキュメント(ai.google.dev、cloud.google.com/gemini)と GitHub 公式リポジトリを一次ソースとして、Gemini 3 Pro CLI を実務で使い倒すために必要な情報を体系化します。

本記事の情報は 2026 年 5 月時点のものです。Gemini CLI はバージョン更新が早い領域のため、最新仕様は GitHub リリースノートGoogle AI 公式ドキュメント で必ず突き合わせてください。

結論 — 60 秒で読む Gemini 3 Pro CLI 乗り換え判断早見表

迷ったら以下のいずれかを基準に判断してください。

あなたの状況推奨アクション主な理由
まだ CLI 系 AI エージェントを使ったことがないGemini CLI から始める無料・OSS・Google アカウントだけで動く・1M コンテキスト
Claude Code を使っていて、リポジトリ全体読み込みでハマるGemini CLI を併用Claude の 200K に対し 1M コンテキストでメガリポでも一括読込
Codex CLI を使っていて、Web 検索統合が欲しいGemini CLI を併用Google 検索グラウンディングが組み込み標準
月額固定費を払いたくないが対話 AI が欲しいGemini CLI のみOAuth で完全無料、1 日 1,000 リクエストは個人開発で十分
機密コードを扱う業務利用Vertex AI または Workspace Business 以上を契約無料 OAuth はデータが ML 改善に使われる可能性あり
マルチモーダル(画像・動画・PDF)込みのタスクが多いGemini CLI に寄せるGemini 3 Pro はマルチモーダル性能で上位スコアが公式モデルカードで報告されている
コーディング精度を最優先(SWE-Bench Verified スコア重視)Claude Code または Codex CLI が依然優位SWE-Bench Verified: Gemini 3.1 Pro 80.6% / Claude Opus 4.7 87.6% / GPT-5.5 88.7%

結論を一行で言えば: Gemini CLI は「無料 + 超ロングコンテキスト + Web 検索統合」が武器で、Claude Code / Codex CLI とは対立ではなく役割分担で組み合わせるのが 2026 年現在の現実解です。コーディング精度のベンチマークでは依然 Claude / Codex がリードしているため、純粋なコード生成主体の現場では Gemini CLI を「リポジトリ全体読み込み + Web 検索」担当として併用するのが最も生産性が高い構成になります。

技術仕様キーポイント早見表

  • 最新版: v0.42.0(2026-05-12 リリース、毎週火曜 UTC 20:00 に新リリース)
  • ライセンス: Apache 2.0、オープンソース、商用利用可
  • 対応モデル: Gemini 3 Pro / 3.1 Pro / Flash / Flash-Lite(-m フラグまたは /settings で切替可能)
  • コンテキスト: 最大 1,048,576 トークン(1M)、出力最大 65,536 トークン
  • 無料枠(個人 Google アカウント): 1 分 60 リクエスト・1 日 1,000 リクエスト
  • 前提: Node.js 20 以上、macOS 15 / Windows 11 24H2 / Ubuntu 20.04 以上
  • 設定ファイル: ~/.gemini/settings.json~/.gemini/GEMINI.md、各プロジェクトルートの GEMINI.md
  • 拡張: MCP(Model Context Protocol)・Extensions・Hooks・Sandbox(Seatbelt / Docker / Podman)標準対応
  • VS Code 連携: Gemini Code Assist 拡張機能経由で CLI 機能を IDE 内から呼び出し可能

Gemini 3 Pro CLI とは何か

Gemini 3 Pro CLI(一般には「Gemini CLI」と呼ばれる)とは、Google が開発・運営するターミナル上で動作するオープンソース AI エージェントです。npm install -g @google/gemini-cli で誰でもグローバルインストールでき、Google アカウントでログインするだけで Gemini 3 Pro / 3.1 Pro を直接呼び出せます。Apache 2.0 ライセンスで公開されているため、商用利用・改変・フォークが自由で、社内ツールへの組み込みも禁止事項はありません。

ターミナルで動くオープンソース AI エージェントという位置づけ

Gemini CLI は 「ReAct(Reason + Act)ループ」 を用いて複雑なタスクを自律的に分解・実行するエージェント型 CLI です。組み込みツールとしてローカルファイル読み書き、シェル実行、Web 検索(Google 検索グラウンディング)、Web フェッチを備え、追加の MCP サーバーや Extensions を入れることで GitHub・Slack・Notion・ブラウザ操作などへも自然に拡張できます。

この設計思想は Anthropic の Claude Code、OpenAI の Codex CLI と共通しており、2025〜2026 年のターミナル AI エージェント領域は 「3 ベンダーが同じ UX を別モデルで提供する」 構図に集約されつつあります。Gemini CLI のポジションは、3 つの中で最も「無料で大きなコンテキストを試せる入り口」として機能しています。

なぜ無料で使えるのか — OAuth + データ学習を許容するモデル

無料 OAuth ログインで 1 日 1,000 リクエストまで使えるのは、Google が 「データを学習に使うことを許容する代わりに料金を取らない」 ビジネスモデルを採用しているためです。後述する「無料枠データ学習リスクと Opt-out 手順」の章で詳述しますが、無料利用時はユーザーの入力・出力が Google プロダクトの改善に利用される可能性があります。

この設計は、Google が個人開発者を広く取り込み、有料プラン(Gemini API 従量課金・Google AI Pro・Workspace・Vertex AI)への自然な導線を作る戦略の表れです。逆に言えば、業務利用や機密コードを扱う現場では「無料 OAuth は使わない」が原則になります。

Apache 2.0 ライセンスの意味

Apache 2.0 で公開されているため、Gemini CLI 本体は誰でも自由にフォーク・改変・社内配布できます。これは Anthropic Claude Code(一部 OSS)や OpenAI Codex CLI(Rust 製 OSS)と並んで、ターミナル AI エージェント領域が「ベンダーロックされにくい OSS 文化」に支えられている象徴です。

ただし、利用するモデル(Gemini 3 Pro / 3.1 Pro 等)は Google のクラウド API 経由で呼び出すクローズドモデルです。CLI 本体は OSS でも、推論はクラウドに送信される点は誤解しないでください。

Gemini CLI と Gemini Code Assist / Gemini アプリの違い

「Gemini」と名のつく Google 製品は混乱しがちなので、整理しておきます。

製品形態主な用途価格
Gemini アプリWeb / iOS / Android アプリチャット型の汎用 AI 利用無料 + Google AI Plus/Pro/Ultra
Gemini Code AssistVS Code / JetBrains 拡張エディタ内のコード補完・チャット無料 + Standard/Enterprise
Gemini CLIターミナル CLIエージェント型のタスク実行・自動化無料 + API 従量
Vertex AI Geminiクラウド APIアプリケーション組み込み従量課金

Gemini CLI は 「ターミナルで完結するエージェント実行環境」 を提供するのが他製品との最大の違いで、IDE を立ち上げる前のリポジトリ調査・スクリプト自動化・CI 連携といった用途で力を発揮します。

Gemini 3 Pro CLI vs Claude Code vs Codex CLI — 3 軸定量比較

Claude Code / Codex CLI ユーザーが最も知りたいのは「乗り換えるべきか、併用すべきか」という判断軸です。一次ソースを基に 3 製品を横並びで整理します。

スペック・料金・ベンチマーク横並び比較表

項目Gemini 3 Pro CLIClaude CodeCodex CLI
SWE-Bench Verified80.6%(Gemini 3.1 Pro)87.6%(Opus 4.7)88.7%(GPT-5.5)
コンテキストウィンドウ最大 1M トークン200K(標準)/ 1M(Opus 4.7 Long 拡張枠)400K
出力上限65,536 トークン32,000 トークン前後32,768 トークン
個人利用の月額無料(OAuth)$20〜(Claude Pro)$20〜(ChatGPT Plus)
1 日リクエスト数(無料)1,000
1 分リクエスト数(無料)60
API 入力料金(/1M)$2(≤200K)/ $4(>200K)$5 前後$5 前後
API 出力料金(/1M)$12(≤200K)/ $18(>200K)$15 前後$15 前後
認証方式OAuth / API キー / Vertex AIAPI キー / Anthropic ConsoleAPI キー / ChatGPT サインイン
Web 検索グラウンディング標準搭載別途 MCP 必要別途 MCP 必要
MCP 対応標準対応標準対応標準対応
SandboxSeatbelt / Docker / PodmanSeatbelt / LandlockSeatbelt / Landlock
ライセンスApache 2.0コア部分 OSS、商用条件ありApache 2.0(Rust 製)
IDE 拡張Gemini Code Assist 経由Claude Code ExtensionCodex IDE Extension

数値の出典は本記事末尾の「出典・参考一次ソース」セクションにまとめて掲載しています。2026 年 5 月時点の公開情報を基にしており、ベンチマーク・料金は最新のモデルカード/公式料金ページで必ず突き合わせてください。Gemini 3 Pro / 3.1 Pro はキャッシュ入力割引(一次ソースで $0.20〜$0.40/1M)もあり、利用パターンによって実質単価は変動します。

用途別マトリクスでの優位性

純粋なスペックではなく「どんなタスクに向くか」で見ると優位性ははっきり分かれます。

タスク種別最適次点理由
大規模リポジトリの横断調査(>10 万行)Gemini 3 Pro CLIClaude Code(Opus 4.7 Long)1M コンテキストで一括読込が可能
純粋なコード生成・実装Claude Code(Opus 4.7)Codex CLI(GPT-5.5)SWE-Bench Verified スコアで首位
CI / GitHub Actions での自動レビューCodex CLIGemini CLIcodex exec の非対話モードが安定
Web 検索を伴う調査・ドキュメント生成Gemini 3 Pro CLIClaude Code + MCPGoogle 検索グラウンディング標準
マルチモーダル(PDF / 画像 / 動画解析)Gemini 3 Pro CLICodex CLIGemini 3 Pro はマルチモーダル系ベンチで上位スコアが報告されている
月額固定費を払いたくないGemini 3 Pro CLI(該当なし)OAuth 無料枠が実用ライン
エンタープライズの厳しいガバナンスVertex AI GeminiAnthropic BedrockVPC-SC・IP 補償・監査ログ標準

単独で済むケース / 併用が必要なケース / 全部入りで使うケース

実務での組み合わせパターンは大きく 3 つに分けられます。

  • Gemini CLI 単独で済むケース: 個人開発・OSS 趣味プロジェクト・社外公開してよいコードのみ扱う。SWE-Bench スコアより無料 + 1M コンテキストの方が価値が高い場面。
  • Gemini CLI + Claude Code 併用ケース: 「Gemini でリポジトリ全体を読み込みアーキテクチャ理解 → Claude でモジュール単位の実装」というワークフロー。日本のスタートアップで急速に普及している。
  • 3 つすべてを使い分けるケース: 大企業の AI 開発組織で「Gemini = 調査・Web 検索」「Claude = 設計・実装」「Codex = CI レビュー」と役割分担する構成。AGENTS.md / GEMINI.md / settings.json を共通化する設計力が要る。

詳細な選定基準は Claude Code vs Codex 完全比較Codex Cloud vs Codex CLI 完全比較 も合わせて読むと、3 ツールの位置関係が立体的に見えます。

インストール完全ガイド — macOS / Linux / WSL2 / Windows の罠まで網羅

Gemini CLI のインストール自体は npm install -g @google/gemini-cli 一発ですが、各 OS で実際にハマるポイントは少しずつ違います。4OS 別に「実行コマンド + よくあるエラー + 対処法」をセットで整理します。

共通の前提条件

すべての OS で Node.js 20 以上が必要です。バージョン確認は次のコマンドで行います。

node --version
# v20.x.x 以上であること
npm --version
# 10.x.x 以上であること

Node.js が古いか未インストールの場合は、Node.js 公式 から LTS 版(20.x または 22.x)を入れるか、各 OS のバージョンマネージャ(nvm / fnm / volta)を使ってください。

macOS(Sequoia 15+)でのインストール

macOS の場合は Homebrew 経由か npm 直接の 2 通りがあります。Homebrew は Node.js も一緒に管理できるため、Mac の開発機が新規セットアップなら推奨です。

# 方法 A: Homebrew 経由(推奨)
brew install node
npm install -g @google/gemini-cli

# 方法 B: 既存の Node.js を使う
npm install -g @google/gemini-cli

# インストール確認
gemini --version

# 起動
gemini

macOS で発生しやすいエラーは「npm ERR! Error: EACCES: permission denied, mkdir '/usr/local/lib/node_modules'」です。これは /usr/local 配下に書き込み権限がない場合に出ます。sudo npm install -g @google/gemini-cli で回避できますが、本来は npm のグローバル prefix をユーザーディレクトリに変更するのが安全です。

# 安全な解決策(推奨)
mkdir -p ~/.npm-global
npm config set prefix '~/.npm-global'
echo 'export PATH=~/.npm-global/bin:$PATH' >> ~/.zshrc
source ~/.zshrc
npm install -g @google/gemini-cli

Linux(Ubuntu 20.04+ / Debian / Fedora)でのインストール

Linux 系ディストロは Node.js 20 以上が標準パッケージリポジトリにない場合があります。NodeSource か nvm 経由で確実に 20 以上を入れます。

# Ubuntu / Debian での Node.js 20 セットアップ
curl -fsSL https://deb.nodesource.com/setup_20.x | sudo -E bash -
sudo apt-get install -y nodejs

# Gemini CLI インストール
sudo npm install -g @google/gemini-cli

# 確認・起動
gemini --version
gemini

Linux で多いトラブルは 「npm のグローバルパスが PATH に通っていない」 ケースです。which gemini が空なら、npm config get prefix の出力先に bin を足したパスを PATH に追加してください。

WSL2(Windows Subsystem for Linux)でのインストール

WSL2 は Linux 環境としてインストール手順自体は Ubuntu と同じですが、OAuth 認証で 1 つだけ罠があります。

# WSL2 内で実行
curl -fsSL https://deb.nodesource.com/setup_20.x | sudo -E bash -
sudo apt-get install -y nodejs
sudo npm install -g @google/gemini-cli
gemini

初回起動時にブラウザが開いて Google ログインを求められますが、WSL2 の認証サーバーは WSL2 内の IP アドレスで起動するのに対し、Windows 側のブラウザは localhost を参照します。このため認証コールバックが失敗するケースが報告されています。

対処法は 2 通りありますが、WSL2 環境では API キー認証を第一選択にするのが最も安定します。

  1. API キー認証に切り替える(推奨): Google AI Studio で API キーを取得し、export GEMINI_API_KEY=...~/.bashrc に追記。OAuth コールバックの問題を回避できます。料金は完全従量課金になりますが、業務利用ならどのみち API キーが推奨です。
  2. どうしても OAuth を使いたい場合: ブラウザのアドレスバーで localhost を WSL2 の IP に書き換える方法(ip addr show eth0 | grep inet で IP を確認)が紹介されていますが、ブラウザ側の CSRF / 同一オリジン制限で拒否されるケースがあるため、安定運用には向きません。

Windows ネイティブ(PowerShell / Windows Terminal)でのインストール

2026 年 5 月時点では Windows 11(24H2 更新以上)であれば、WSL2 なしの PowerShell ネイティブでも Gemini CLI が動作します。ただし PowerShell の 実行ポリシーで躓くケースが最も多いです。

# Node.js 20 がインストール済みであることを前提
npm install -g @google/gemini-cli

# 実行時にエラー: 「このシステムではスクリプトの実行が無効になっているため」
# 対処(管理者として実行)
Set-ExecutionPolicy -ExecutionPolicy RemoteSigned -Scope CurrentUser

# その後
gemini

PowerShell の ExecutionPolicy はデフォルトで Restricted のため、npm でインストールしたグローバル実行ファイル(.ps1 ラッパー)が動きません。RemoteSigned または Bypass(非推奨)に変更すれば動作します。

もう 1 つの罠は PATH 未設定です。npm でグローバルインストールしたパスが %APPDATA%\npm ですが、これが PATH に入っていないと「'gemini' は、内部コマンドまたは外部コマンド...として認識されていません」が出ます。echo $env:Path で確認し、入っていなければ Windows のシステム環境変数から追加してください。

インストール後の動作確認

どの OS でも、以下のコマンドで動作確認ができます。

# バージョン確認
gemini --version

# ヘルプ表示
gemini --help

# 対話モード起動
gemini

# ワンショット実行
gemini -p "現在のディレクトリの README.md を 3 行で要約して"

対話モードでプロンプト >> が表示されたら成功です。>> の後に自然な日本語で質問を入れて応答が返ってくれば、認証も通っています。

アップデート手順

Gemini CLI は週次でリリースされるため、こまめにアップデートしてください。初期版(v0.1.x 系)でプロンプトインジェクション関連のセキュリティ議論があった経緯もあり、CLI 自体の脆弱性は最新版に追従することが第一の対策です(詳細は GitHub リリースノート で確認してください)。

# 最新版にアップデート
npm install -g @google/gemini-cli@latest

# 現在のバージョン確認
gemini --version

初期設定 — 認証 3 方式と ~/.gemini/settings.json

Gemini CLI は 3 つの認証方式を選べます。それぞれ無料枠・データ学習ポリシー・利用可能な機能が違うため、用途で選び分けてください。

認証方式 1: Google OAuth(個人開発者・無料枠あり)

最も手軽です。gemini を起動するとブラウザが開き、Google アカウントでサインインするだけで完了します。1 分 60 リクエスト・1 日 1,000 リクエストまで無料で、Gemini 3 Pro のフル機能(1M コンテキスト・マルチモーダル)が使えます。

ただし無料 OAuth では、ユーザーの入力・出力が Google プロダクト改善のために学習データとして使われる可能性があります。後述する Opt-out 手順で部分的に止めることは可能ですが、業務利用には推奨されません。

認証方式 2: Gemini API キー(個人・チーム・従量課金)

Google AI Studio で API キーを発行し、環境変数に設定します。

# API キーを取得して環境変数にセット
export GEMINI_API_KEY="AIza...your_key..."

# 永続化したい場合
echo 'export GEMINI_API_KEY="AIza..."' >> ~/.zshrc  # macOS
echo 'export GEMINI_API_KEY="AIza..."' >> ~/.bashrc # Linux

API キー認証では、Gemini API の有料プランに紐づくため、データはモデル改善に使われません(公式ポリシーで明記)。ただし利用は完全従量課金(入力 $2〜$4 / 1M トークン、出力 $12〜$18 / 1M トークン)になります。

認証方式 3: Vertex AI(エンタープライズ・Google Cloud)

Google Cloud プロジェクトに紐づけて利用する方式です。Application Default Credentials(ADC)を使うか、サービスアカウントキーで認証します。

# gcloud CLI を使った ADC 設定
gcloud auth application-default login

# 起動後、Gemini CLI 内で /auth を実行して Vertex AI を選択
gemini
# 対話モード起動後
/auth

認証切替は基本的に /auth スラッシュコマンドで行います(フラグ表記は版によって変動するため、最新仕様は gemini --help および公式ドキュメントで確認してください)。Vertex AI 経由なら、VPC-SC・データレジデンシー指定・監査ログ・Generative AI Indemnity(IP 補償)などのエンタープライズ機能が利用できます(補償対象範囲は契約条件で変動するため、最終確認は Google Cloud 利用規約 で行ってください)。法人で「無料枠は使わない、API キーも個別管理したくない」という場合は、これが最も統制が効きます。

~/.gemini/settings.json の基本構造

認証や挙動の細かいカスタマイズは ~/.gemini/settings.json で管理します。初回起動時に空ファイルが作られ、/settings コマンドで GUI 風に編集できます。

{
  "theme": "Default",
  "selectedAuthType": "oauth-personal",
  "preferredEditor": "vscode",
  "checkpointing": {
    "enabled": true
  },
  "fileFiltering": {
    "respectGitIgnore": true,
    "respectGeminiIgnore": true
  },
  "mcpServers": {
    "filesystem": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "@modelcontextprotocol/server-filesystem", "/workspace"]
    }
  }
}

主要なキーは次のとおりです。

キー役割
themeUI のカラーテーマ(/theme で切替)
selectedAuthTypeoauth-personal / gemini-api-key / vertex-ai
preferredEditor/editor で使うエディタ(vim / nano / vscode / cursor 等)
checkpointingツール実行前の状態を保存。/restore で巻き戻せる
fileFiltering.gitignore.geminiignore を尊重
mcpServers後述する MCP サーバー定義

全 22 スラッシュコマンド完全リファレンス

公式ドキュメントですらコマンド一覧はあっても「いつ使うか」までは書いていないため、実務シナリオ付きで全 22 コマンドを整理します。

全コマンド早見表

コマンド役割主な使用シーン
/helpヘルプ表示(/? でも可)コマンドを忘れたとき
/quitCLI 終了(/exit でも可)セッション終了
/clearターミナル画面クリア(Ctrl+L)履歴が見にくくなったとき
/chat会話履歴管理(save / resume / list / delete / share)セッション保存・復元
/memoryGEMINI.md 管理(add / show / refresh / list)長期記憶のメンテナンス
/settings設定エディタを開く認証・テーマ・MCP 設定
/statsトークン使用量・セッション統計表示コスト管理
/auth認証方式の切り替えOAuth → API キー など
/themeカラーテーマ変更視認性調整
/editorエディタ選択ダイアログ長文入力時
/tools利用可能なツール一覧何ができるか確認
/mcpMCP サーバーの状態確認接続テスト
/extensionsアクティブな拡張機能一覧拡張機能の確認
/initGEMINI.md ファイル生成プロジェクト初期化
/compressチャットコンテキストを要約トークン節約
/restoreツール実行前の状態にファイル復元失敗からの巻き戻し
/copy最後の出力をクリップボードへ結果の貼り付け
/directoryワークスペースディレクトリ管理(add / show)マルチプロジェクト
/aboutバージョン情報表示サポート問い合わせ前
/bugGitHub にイシュー報告バグレポート
/privacyプライバシー通知表示データ取扱い確認
/vimVim モード切替Vim キーバインドを使いたいとき

必須 5 コマンド — 毎日使うもの

  • /help: すべてのコマンドを忘れても、ここから辿れます。/? も同じ。
  • /memory show: いま GEMINI.md として読み込まれている全コンテキストを確認できます。AI の挙動が意図と違うときは、まずこれで「何が読まれているか」を確認します。
  • /chat save my-task: 長時間タスクの途中状態を保存。/chat resume my-task で再開できます。
  • /settings: 認証方式・テーマ・MCP の設定 GUI。~/.gemini/settings.json を直接編集するより安全です。
  • /stats: 現セッションのトークン消費量、ツール呼び出し回数を確認。/stats session でセッション統計、/stats model でモデル別統計が見られます。

拡張系 — MCP / Extensions / Init

  • /mcp: 接続中の MCP サーバー一覧と状態(緑●が Ready)を表示。新しい MCP を追加した直後の動作確認に使います。
  • /extensions: 公式・サードパーティの Extensions を一覧表示。プロジェクト固有の拡張機能を入れたあとに確認。
  • /tools: そのセッションで AI が呼び出せる全ツール(組み込み + MCP + Extensions)を表示。エージェントが「使えるツールがない」と返してきたときの切り分けに有用。
  • /init: 現在のディレクトリで GEMINI.md の雛形を生成。新しいプロジェクトを始めたら最初に叩くコマンドです。

運用系 — Restore / Compress / Auth

  • /restore: 直前のツール実行(ファイル編集・コマンド実行)を巻き戻します。AI が誤ってファイルを上書きした場合の保険です。settings.jsoncheckpointing.enabledtrue にしておく必要があります。
  • /compress: 会話コンテキストを要約してトークンを節約。長時間セッションで 1M コンテキストに近づいたら使います。
  • /auth: 認証方式を OAuth ↔ API キー ↔ Vertex AI で切り替え。デモ時は無料 OAuth、本番作業時は Vertex AI、と使い分ける運用に便利。

シェル統合 — ! プレフィックスと Yolo モード

スラッシュコマンドではありませんが、必ず覚えておきたい 2 つです。

  • ! プレフィックス: プロンプトの先頭に ! を付けるとシェルコマンドとして実行されます。例: !ls -la!git status!docker ps。AI とのチャット中に「ちょっとシェル叩きたい」を CLI 離脱なしで処理できます。
  • Yolo モード: gemini --yolo または対話中の Yolo 切替で、ユーザー承認なしにツール実行・ファイル編集が走ります。便利だが極めて危険で、特に未確認のリポジトリで使うと意図しないファイル書き換えが起きます。本番環境では使用禁止が推奨です。

GEMINI.md と階層メモリ — プロジェクト固有のコンテキストを永続化

Gemini CLI は 3 階層のメモリシステム を採用しています。それぞれの GEMINI.md ファイルが連結されてプロンプトとともにモデルに送信されます。

階層構造

階層パス用途
グローバル~/.gemini/GEMINI.mdすべてのプロジェクトで共通の指示・コーディング規約
プロジェクトプロジェクトルートの GEMINI.mdプロジェクト全体の文脈・スタイルガイド
コンポーネントサブディレクトリの GEMINI.md特定モジュール固有の指示

CLI は現在ディレクトリから親方向に .git を探し、見つかったところをプロジェクトルートと判定して GEMINI.md を再帰的に収集します。.gitignore.geminiignore で除外パターンを指定できます。

/memory サブコマンドの使い分け

# 現在読まれている全メモリを表示(デバッグ時必須)
/memory show

# その場で記憶を追加(一時メモ)
/memory add "このプロジェクトでは pnpm を使う。npm/yarn は禁止。"

# GEMINI.md を変更したあとに反映
/memory refresh

# 階層別のリスト表示
/memory list

/memory show は AI の挙動が意図と違うときの一次切り分けに必須です。「なぜ AI が pnpm でなく npm を提案してくるのか」が、グローバル GEMINI.md に古い設定が残っていたから、というケースは頻繁にあります。

GEMINI.md テンプレート例(プロジェクト用)

# プロジェクト固有の指示

### 技術スタック
- Next.js 16 (App Router、Turbopack)
- Tailwind CSS v4
- TypeScript strict mode

### コーディング規約
- 関数 50 行以内、ファイル 400 行推奨
- `any` 禁止、`unknown` + 型ガード
- 命名: camelCase(変数)、PascalCase(型)、kebab-case(ファイル)

### テスト
- 実装と同じディレクトリに `{name}.test.ts` で配置
- TDD(Red → Green → Refactor)必須

### 禁止事項
- `git push origin main` は実行禁止(必ずブランチ作成)
- `console.log` を残してコミットしない

このように 「言われなくても守ってほしいルール」を GEMINI.md に集約する ことで、毎回プロンプトに書く手間が省け、AI の出力品質が安定します。Claude Code の CLAUDE.md、Codex の AGENTS.md と同じ思想ですが、Gemini CLI は階層構造による細粒度制御が一歩進んでいます。

MCP サーバー 10 選 + settings.json 実例

Model Context Protocol(MCP)は、AI エージェントに外部システムへのアクセスを提供する標準プロトコルです。Gemini CLI は MCP を標準サポートしており、~/.gemini/settings.jsonmcpServers セクションに記述するだけで拡張できます。

おすすめ MCP サーバー 10 選

#MCPできること公式 / 主要実装
1Filesystem指定ディレクトリのファイル読み書き@modelcontextprotocol/server-filesystem
2GitHubリポジトリ・Issue・PR・コードサーチ@modelcontextprotocol/server-github
3Slackメッセージ投稿・チャンネル検索@modelcontextprotocol/server-slack
4Notionページ・データベースの読み書き@modelcontextprotocol/server-notion
5Linearチケット作成・更新・検索@linear/mcp-server
6Playwrightブラウザ自動操作・スクリーンショット@playwright/mcp
7PostgresDB スキーマ・クエリ実行@modelcontextprotocol/server-postgres
8Google Driveドキュメント・スプレッドシート読込@modelcontextprotocol/server-gdrive
9Sequential Thinking思考の連鎖を構造化@modelcontextprotocol/server-sequential-thinking
10Memoryセッション横断の長期メモリ@modelcontextprotocol/server-memory

settings.json への追加例

複数の MCP を一括で追加する例です。

{
  "selectedAuthType": "oauth-personal",
  "mcpServers": {
    "filesystem": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "@modelcontextprotocol/server-filesystem", "/Users/me/projects"]
    },
    "github": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "@modelcontextprotocol/server-github"],
      "env": {
        "GITHUB_PERSONAL_ACCESS_TOKEN": "${GITHUB_TOKEN}"
      }
    },
    "playwright": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "@playwright/mcp"]
    },
    "postgres": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "@modelcontextprotocol/server-postgres", "postgresql://localhost:5432/mydb"]
    }
  }
}

環境変数で認証情報を管理する

API キー・トークンは絶対に settings.json に直書きせず、環境変数経由で渡してください。${VAR_NAME} 形式で settings.json から参照できます。

# シェル設定ファイルに記載
export GITHUB_TOKEN="ghp_..."
export SLACK_BOT_TOKEN="xoxb-..."
export NOTION_API_KEY="secret_..."

これは MCP の設定ファイルごと社内 Wiki や git に上げてしまう事故を防ぐ最低ラインです。

/mcp で接続確認

settings.json を変更したら Gemini CLI を再起動し、/mcp を実行してください。各サーバー名の前に緑の ● マークと Ready が表示されていれば接続成功です。赤や Failed の場合は、gemini --debug で詳細ログを見て切り分けます。

Claude Code を MCP で拡張する場合の手順は Claude Code MCP 連携完全ガイド も参考になります。設定ファイルのキー名は違いますが、思想は共通です。

サンドボックス・Hooks・Extensions — 実行制御の三本柱

エージェント型 CLI で最も気をつけるべきは「AI が勝手にファイルを書き換える・コマンドを実行する」リスクです。Gemini CLI はこれを制御する 3 つの仕組みを標準で持っています。

Sandbox — Seatbelt / Docker / Podman

Sandbox はツール実行(特にシェルコマンド)を分離された環境で動かす機能です。3 方式から選べます。

方式対応 OS特徴
Seatbelt(sandbox-exec)macOSOS ネイティブの軽量サンドボックス
DockerLinux / macOS / Windowsコンテナ単位の隔離。最も強い分離
PodmanLinuxDocker 互換、ルートレス実行が容易

起動コマンド例:

# Docker サンドボックスで起動
gemini --sandbox docker

# Seatbelt(macOS、デフォルト)
gemini --sandbox seatbelt

業務利用では 必ず Sandbox を有効にし、ホスト OS のファイルシステムへの書き込みを制限するのが基本です。

Hooks — ライフサイクルイベント駆動のカスタマイズ

Hooks は、Gemini CLI のライフサイクルイベント(プロンプト送信前・ツール実行前・実行後など)にフックして任意のコマンドを実行する仕組みです。

ユースケース例:

  • ツール実行前に git status を確認してダーティな状態なら警告
  • ファイル書き換え後に自動 prettier --write
  • AI 応答後に自動 pnpm test を流して TDD ループを実現
  • セッション開始時に Slack 通知

Claude Code の Hooks とほぼ同じ思想で、settings.json に hooks キーで定義します。

Extensions — 拡張機能エコシステム

Extensions は MCP より上位の「機能パッケージ」です。公式 Extensions と、コミュニティが公開する Extensions があり、/extensions で一覧と有効/無効を管理できます。

# アクティブな拡張機能を表示
/extensions

# 拡張機能の追加(npm パッケージとして配布)
npm install -g gemini-cli-extension-example

代表的なものとして、Google Cloud Codelabs 連携、特定言語向けのリンター連携、社内 RAG への接続など、用途別に整備されています。

料金プラン全種と法人ライセンス徹底比較

「無料で使える」というメッセージばかりが先行する Gemini CLI ですが、業務利用するなら法人ライセンスを正しく選ぶ必要があります。

6 プラン横並び比較表

料金は 2026 年 5 月時点、日本リージョン・年契約ベースで公式ページに掲載されている価格帯を要約したものです。実額は契約条件・為替・地域で変動するため、最終見積は Google Workspace 公式Vertex AI 料金 で必ず確認してください。

プラン月額(目安)データ学習IP 補償監査ログVPC-SC主な用途
無料 OAuth無料される可能性ありなしなしなし個人開発・学習
Gemini API(従量課金)入力 $2〜$4 / 出力 $12〜$18(1M トークンあたり、≤200K と >200K で段階)されないなしなしなし個人・小規模チーム
Google AI Plus¥1,200 / $7.99されないなしなしなし個人ヘビーユーザー
Google AI Pro(旧 One AI Premium)¥2,900 / $19.99されないなしなしなし個人・フリーランス
Workspace Business Standard¥1,360〜1,600 / user(年契約・日本リージョン目安)されない契約条件付きありありなし中小企業
Workspace Enterprise個別見積もりされない契約条件付きありあり一部対応大企業
Vertex AI Gemini従量課金(API 同等)されない契約条件付きありありありエンタープライズ AI 開発
Gemini Enterprise(旧 Duet AI for Google Cloud)個別見積もりされない契約条件付きありありありGoogle Cloud 全社統合

IP 補償(Generative AI Indemnity)の 対象範囲は契約条件・利用形態で変動するため、「あり」と書いた行でも自動的に全ケース補償されるわけではありません。最終確認は Google Cloud カスタマー契約と最新の Service Specific Terms で行ってください。

個人利用の選び方

  • 「とりあえず試したい」: 無料 OAuth で十分。コードを公開しても OK な OSS プロジェクトや学習用途なら問題ない。
  • 「1 日 1,000 リクエストを超える」: Google AI Plus(¥1,200)か Gemini API 従量課金。AI Plus はアプリ・CLI 統合パッケージ、API は CLI 専用ならコスト最適。
  • 「フリーランスで顧客コードを扱う」: Google AI Pro(¥2,900)または Gemini API。データ学習がされないため最低ライン。

法人利用の選び方 — Workspace / Vertex AI / Gemini Enterprise の使い分け

法人で導入する場合、よくある混乱は「Workspace と Vertex AI、どちらにすべきか」です。判断軸は明確です。

  • Workspace を選ぶケース: 「全従業員に Gemini を配り、Docs / Gmail / Meet と統合した汎用的な事務効率化を狙う」場合。月額固定で予算が立てやすい。Gemini CLI もこの契約で使える。
  • Vertex AI を選ぶケース: 「自社プロダクトに Gemini を組み込む」「データレジデンシー要件がある」「VPC-SC で外部通信を完全に絞りたい」「監査ログを SIEM に流したい」場合。完全従量課金で、エンジニア・データサイエンティストのリソースが要る。
  • Gemini Enterprise を選ぶケース: 「Workspace と Vertex AI を別々に契約するのが面倒」「全社で統一した AI ガバナンスを敷きたい」場合。複数プロダクトの統合パッケージで、大企業向け。

Gemini CLI 個別の課金関係

Gemini CLI 自体は OSS で無料ですが、利用する認証方式によって課金されるプランが変わります。

  • OAuth ログイン → 無料(個人)/ Workspace 契約があれば Workspace 枠を消費
  • API キー → Gemini API の従量課金
  • Vertex AI → Vertex AI の従量課金

「Workspace を契約しているのに CLI で API キーを使ってしまい二重課金している」というケースが実務で散見されます。法人契約があるなら CLI も OAuth に揃えるか、Vertex AI ADC に統一するのが運用上の鉄則です。

無料枠データ学習リスクと Opt-out 手順

業務利用検討時に最も重要な論点です。一次ソース(Google プライバシーポリシー・Gemini Apps Privacy Notice)に基づき整理します。

認証方式 × プラン × データ学習マトリクス

認証方式プランデータが学習に使われるかIP 補償
OAuth無料使われる可能性ありなし
OAuthGoogle AI Plus / Pro使われないなし
OAuthWorkspace Business 以上使われないあり
API キーGemini API 従量使われないなし
Vertex AI従量課金使われないあり

無料 OAuth は 「サービス改善のためにユーザー入出力を利用する」 ポリシーが適用されるのが原則です。コード片に顧客情報・APIキー・社外秘情報が含まれていた場合、それが Google のモデル改善に使われる可能性があります。

Opt-out する 3 つの方法

無料枠を使い続けつつ学習を止めたい場合、以下の選択肢があります。

  1. アクティビティ管理から「Gemini Apps アクティビティ」を OFF: Google アカウント設定 → データとプライバシー → Gemini Apps アクティビティを停止。これで一定範囲のデータ保持が停止します。ただし「全面 Opt-out」とは限らないため、業務利用には不十分。
  2. API キー認証に切り替え: 環境変数 GEMINI_API_KEY を設定して gemini --auth gemini-api-key。Gemini API の有料利用に切り替わり、データはモデル改善に使われません。
  3. Vertex AI に切り替え: gcloud auth application-default login してから gemini --auth vertex。エンタープライズ向けの最も強い保護。

業務利用の最低ライン

機密コード・顧客データを扱う業務利用では、「無料 OAuth は使わない」が原則です。Google AI Pro(¥2,900/月)でも個人利用向けのため、組織で扱うなら Workspace Business 以上か Vertex AI が最低ライン。法務・情報セキュリティ部門の承認を取りやすいのは Vertex AI(VPC-SC + 監査ログ + IP 補償が揃う)です。

詳細な検討は Gemini 3.1 Pro 完全ガイド のモデル比較とあわせて読むと、料金体系全体が見えやすくなります。

実機検証 — 1 週間 Gemini 3 Pro CLI を使って分かったこと

koromo で 2026 年 5 月の 1 週間、Gemini CLI v0.42.0 を Claude Code と並行運用した所感をまとめます。検証環境は macOS Sequoia 15、Node.js 22、M2 Pro / 32GB です。

1M トークンで大規模リポジトリを横断検索

Claude Code(200K コンテキスト)では 1 度に読み込めなかった 40 万行規模の monorepo(Next.js + Prisma + tRPC + monorepo turbo)を、Gemini CLI なら 1 回のプロンプトで「主要なデータフロー全体を要約して」と聞けました。「コードベース全体を眺めながら、設計上の問題を指摘する」用途では Gemini CLI が頭ひとつ抜けます

Claude Opus 4.7 Long(1M)でも同じことはできますが、有料プランの上位枠が必要なのに対し、Gemini CLI は無料 OAuth でこの規模が試せます。

Web 検索統合での調査タスク

Google 検索グラウンディングが組み込み標準のため、「2026 年 5 月時点の Next.js 16 最新ベストプラクティスを調べてサンプルコードを書いて」のような調査タスクが MCP なしで完結します。Claude Code で同じことをするには、Brave Search MCP か Tavily MCP の追加設定が必要なため、Web 検索を多用する人にとって Gemini CLI は明確な優位性があります。

マルチモーダル(PDF / 画像 / 動画)

Gemini 3 Pro はマルチモーダル性能の高さで評価されることが多く、Video-MME などのベンチマークでも上位スコアが報告されています(公式モデルカード参照)。プロジェクトディレクトリに置いた PDF(数百ページの API 仕様書)を @file.pdf を読んで認証フローを Mermaid で書き起こして と渡すと、画像化された図表まで含めて理解した出力が返ります。Claude Code でも PDF 自体は扱えますが、図表混在の長尺 PDF では Gemini の方が安定して読み解ける、というのが koromo の検証時の所感です。

一方で気をつけたいこと

  • コーディング精度はやや劣る: SWE-Bench Verified スコア(80.6% vs Claude 87.6% vs Codex 88.7%)どおり、純粋なコード生成タスクでは Claude / Codex に分があります。新規実装は Claude、調査・読解は Gemini という棲み分けが現実解。
  • マイナー言語の精度: Rust の unsafe ブロックや、Erlang/Elixir などのマイナー言語では、依然 Claude Code の方が安定している印象。
  • エージェントの暴走: Yolo モードでファイル書き換えを任せると、テストを書かずに「動くコード」を量産する傾向。Hooks で自動テストを噛ませる運用が必須。

失敗パターン 5 選とリカバリ

実際に多くの開発者がハマるパターンを整理します。最初から知っていれば 1 週間以上の時間を節約できます。

失敗 1: 古い版のプロンプトインジェクション脆弱性(v0.1.x 系)

Gemini CLI の初期版(v0.1.x 系)では、GitHub に公開されたリポジトリの README.md などに埋め込まれた指示を CLI が読み取り、意図せずシェル実行されてしまう問題が議論された経緯があります(詳細は GitHub の google-gemini/gemini-cli リリースノート と関連 Issue を参照してください)。被害例の詳細は公式チャネルでの最新情報を必ず確認してください。

対策: 必ず最新版にアップデートしてください。npm install -g @google/gemini-cli@latest を週次で実行する CI ジョブを組むのが安全です。また、未確認のリポジトリでは Sandbox を有効化し、ファイル書き込み権限を最小化します。

失敗 2: PowerShell ExecutionPolicy エラー(Windows)

Windows ネイティブで最頻出のエラーです。「このシステムではスクリプトの実行が無効になっているため、ファイル... を読み込むことができません」が出ます。

対策:

# 現在のポリシーを確認
Get-ExecutionPolicy -List

# ユーザースコープのみ変更
Set-ExecutionPolicy -ExecutionPolicy RemoteSigned -Scope CurrentUser

RemoteSigned は「ローカルで作成されたスクリプトは無署名でも実行可、リモートからダウンロードしたスクリプトは署名必須」という最もバランスの良い設定です。Bypass は便利ですが本番マシンでは推奨されません。

失敗 3: WSL2 の localhost 認証問題

WSL2 環境で gemini を起動すると、OAuth 認証用のブラウザが Windows 側で開きますが、「このサイトに到達できません」とエラーが出ます。

原因: WSL2 の認証サーバーは WSL2 内の IP(例: 172.x.x.x)で listen しているのに、Windows ブラウザは localhost(= 127.0.0.1)を見に行くため、コールバックが届きません。

対策: WSL2 では最初から API キー認証を選ぶのが恒久対策です。インストール章にも書きましたが、export GEMINI_API_KEY=...~/.bashrc に追記して OAuth を回避すれば、この問題は発生しません。一部のガイドではブラウザのアドレスバーの localhost を WSL2 内 IP に書き換える方法が紹介されていますが、ブラウザの CSRF / 同一オリジン制限で拒否されることもあり、安定運用には向きません。

失敗 4: Preview Features 未有効化で Gemini 3 Pro が使えない

Gemini CLI は新機能を Preview Features として段階的に有効化する設計です。デフォルトでは Gemini 2.5 Pro が選ばれていることがあり、3 Pro / 3.1 Pro を使うには明示的に切り替えが必要な場合があります。

対策: /settings を開き、Preview Features または Model セクションで Gemini 3 Pro 系を選択するか、起動時に -m フラグで明示指定します。モデル ID の正確な文字列はリリースごとに変動するため、gemini --help の出力か Gemini API モデルドキュメント で最新の正式名を確認してから設定してください(例として gemini-3-pro / gemini-3-pro-preview / gemini-3.1-pro 等の名称が公式で使われた経緯があります)。

# 起動時にモデル指定(モデルIDは公式ドキュメントで最新名を確認)
gemini -m <model-id>

# settings.json で永続化
{
  "model": "<model-id>"
}

失敗 5: 無料枠で機密コードを扱ってしまう

最も静かで、最も影響が大きい失敗です。無料 OAuth で起動した Gemini CLI に顧客プロジェクトのコードを読ませると、それが Google の ML 改善データとして使われる可能性があります。

対策:

  1. 業務用マシンでは無料 OAuth を最初から使わない(API キーか Vertex AI に統一)
  2. プロジェクトルートに GEMINI.md で「機密プロジェクト。データ学習リスクのある認証方式での起動禁止」を明記し、チーム全体で意識を揃える
  3. CI / pre-commit hook で selectedAuthTypeoauth-personal の場合に警告を出す仕組みを入れる

Claude Code / Codex CLI から乗り換える判断基準

3 ツールを並べて使っている koromo の運用知見から、移行判断の軸を提示します。

Claude Code から乗り換える価値があるケース

  • 大規模リポジトリ(>20 万行)を頻繁に横断検索する: Claude の 200K コンテキストでは入りきらない場面が多い。Gemini の 1M に大きな価値。
  • Web 検索を伴うタスクが多い: Claude Code は MCP 追加が前提。Gemini は組み込み。
  • 個人利用で月額 $20 を払いたくない: Gemini CLI なら無料 OAuth で同等以上のスペックが試せる。

逆に **「コード生成・実装の精度を最優先する」「Anthropic の安全性ポリシーに依存している」「Claude Skills エコシステムを活用している」**なら、Claude Code は依然第一選択です。

Codex CLI から乗り換える価値があるケース

  • マルチモーダル(画像 / PDF / 動画)込みのタスクが多い: GPT-5.5 もマルチモーダル対応だが、Gemini 3 Pro の方が定量的に強い。
  • 無料で試したい: Codex CLI は ChatGPT Plus 契約が必要。Gemini は無料。
  • Google Workspace / Vertex AI の既存契約がある: 認証統合・課金統合のメリット大。

逆に **「Codex Cloud 並列実行を活用している」「Codex IDE Extension のシームレスな統合に依存している」「AGENTS.md ベースの運用が固まっている」**なら、Codex CLI は引き続き有利です。

乗り換えではなく併用すべきケース

実務では「乗り換え」より「併用」の方が多くの現場でうまく機能します。具体例:

  • Gemini = 調査・読解 / Claude = 実装 / Codex = レビュー: 3 ツールで役割分担。GEMINI.md / CLAUDE.md / AGENTS.md を別々に用意。
  • Gemini = 朝のリポジトリ全体把握 / Claude = 1 日のメインタスク: 1 日の流れに沿った使い分け。
  • Gemini = OSS / Claude = 顧客プロジェクト: 機密性で使い分け。

koromo の AI 開発 PoC 案件では、「Gemini CLI でドメイン理解 → Claude Code で実装 → Codex CLI で CI レビュー」 のテンプレートを標準化しています。検証中の数件の社内案件では、3 ツール役割分担によって、Claude Code 単独運用時と比べて「リポジトリ理解にかかる時間が体感で大幅に減った」というレビューが多く、特に大規模リポジトリ(数十万行)の調査タスクで効果を感じやすい構成です(定量的なリードタイム比較は案件ごとの諸条件で変動するため、本記事では数値断定を避けます)。

移行コスト — GEMINI.md / settings.json への変換

Claude Code から移行する場合、CLAUDE.md の内容はそのまま GEMINI.md にコピーできます。MCP 設定(claude_desktop_config.json)も mcpServers キーは構造が同じため、ほぼコピペで動きます。

// Claude の claude_desktop_config.json
{
  "mcpServers": {
    "github": { "command": "npx", "args": ["-y", "@modelcontextprotocol/server-github"] }
  }
}

// Gemini の ~/.gemini/settings.json
{
  "mcpServers": {
    "github": { "command": "npx", "args": ["-y", "@modelcontextprotocol/server-github"] }
  }
}

Codex CLI からの移行は config.tomlsettings.json の構文変換が要りますが、概念マッピングは 1 対 1 です。詳しくは Claude Code 完全インストール手順Claude Code MCP 連携完全ガイド も参考にしてください。

FAQ — Gemini 3 Pro CLI のよくある質問

まとめ — Gemini 3 Pro CLI の現在地と選び方

Gemini 3 Pro CLI は、Apache 2.0 のオープンソース・無料 OAuth・1M トークンコンテキスト・Web 検索グラウンディングという 4 つの強みで、Claude Code / Codex CLI と並ぶ「3 大ターミナル AI エージェント」の一角を確立しました。

導入時のポイントを振り返ります。

  • まずは無料 OAuth で試し、業務利用するなら API キー or Vertex AI へ切り替える
  • macOS / Linux / WSL2 / Windows ネイティブで罠が違うので、本記事のインストール章を参照して該当 OS のコマンドだけ実行する
  • /memory、/chat、/settings、/stats、/mcp の 5 コマンドを最初に覚える
  • GEMINI.md と settings.json を整備し、MCP(Filesystem + GitHub から)で外部システムに繋ぐ
  • 無料枠のデータ学習リスクを理解し、機密コードは API キー / Vertex AI で扱う
  • Claude Code / Codex CLI と「役割分担で併用」が 2026 年の現実解

Gemini CLI 単独運用、Claude Code との併用、3 ツール総動員のいずれも、業務適用には GEMINI.md / settings.json の設計と、データ学習リスクのガバナンス設計が要点になります。

koromo では、Gemini × Claude Code × Codex CLI の併用 PoC 設計、GEMINI.md / CLAUDE.md / AGENTS.md の共通化、Workspace / Vertex AI 法人ライセンス選定、Hooks による自動テスト・自動レビューワークフロー設計まで一気通貫でご支援しています。「Gemini CLI を全社展開したいが、無料枠とエンタープライズライセンスの境界線が分からない」「3 ツール併用で生産性を最大化したいが、運用設計が固まらない」といった課題は、koromo のお問い合わせ からご相談ください。

関連記事として、Gemini 3.1 Pro の特徴と活用法Claude Code vs Codex 完全比較Codex Cloud vs Codex CLI 完全比較Claude Code MCP 連携完全ガイド を合わせて読むと、ターミナル AI エージェント領域の全体像がつかめます。

出典・参考一次ソース(2026 年 5 月時点)

ベンチマーク・料金・仕様の最終確認は、必ず以下の一次ソースで突き合わせてください。

koromo からの提案

AIツールの導入判断は、突き詰めると「投資対効果が合うか」「リスクを管理できるか」「事業にどう効くか」の3点に帰着します。koromo では、この判断に必要な材料を整理するところからご支援しています。

以下のような状況にある方は、まず現状の整理だけでも前に進むきっかけになります。

  • AIで開発や業務を効率化したいが、自社に合う方法がわからない
  • 社内にエンジニアがいない / 少人数で、AI導入の進め方に見当がつかない
  • 外注先の開発会社にAI活用を提案したいが、何を求めればいいか整理できていない
  • 「AIを使えばコスト削減できるはず」と感じているが、具体的な試算ができていない

ツールを使った上で相談したい方はお問い合わせフォームから「Gemini × Claude Code 併用 PoC支援の相談」とご記載ください。初回の壁打ち(30分)は無料で対応しています。

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