LINEミニアプリ開発の費用・料金と作り方|できること・審査・ネイティブアプリとの選び方
LINEミニアプリの料金(利用料は無料)と開発費用の相場、できること・できないこと、作り方と認証審査の流れ(1〜2週間程度)、ネイティブアプリ・Webアプリとの判断表を、LINEヤフーの公式ドキュメントと開発会社の公開費用をもとに整理します。

LINEミニアプリは、LINEの中で動くWebアプリです。利用者はアプリをインストールせずに、LINEのアカウントで会員証・モバイルオーダー・予約などのサービスを使えます。LINEヤフーはLINEミニアプリ自体の利用に費用はかからないと案内しており、企業が負担するのは開発費と運用費です。公開されている目安では、業種向けのパッケージは多くが初期30万円以下・月額数万円以下で始められ、自社専用に委託開発する場合は開発会社によって50万円程度から1,000万円以上まで幅があります。内訳と金額が上がる条件は「LINEミニアプリ開発の費用相場と決まり方」で整理しています。
この記事は、店舗や会員サービスを持つ企業の担当者に向けて、LINEミニアプリで何ができて何ができないか、ネイティブアプリやWebアプリとどう選び分けるか、費用がどこで決まるか、審査を含めて公開までに何が必要かを、判断表の形でまとめたものです。
本記事の情報について: 仕様・審査・機能はLINEヤフーの開発者向けドキュメント(LINE Developers)とLINEヤフー for Businessの公式ページを2026年10月1日に確認した内容です。費用は開発会社などが公開している目安で、特定の案件の見積もりではありません。仕様と料金は変更されることがあるため、依頼前に最新の公式情報を確認してください。
この記事で分かること
- LINEミニアプリとLIFFの関係、未認証ミニアプリと認証済ミニアプリの違い
- LINEミニアプリでできることと、作る前に知っておきたい制約
- ネイティブアプリ・Webアプリ・LINEミニアプリの判断表と分岐図
- パッケージ・委託開発・自社開発の違いと、公開されている費用の目安
- 開発費以外にかかる費用と、費用が上がる条件
- LINEミニアプリの作り方(技術の全体像)と、認証審査・公開までの流れと期間
- 開発会社に依頼するときに確認すること
状況別の読み分け早見表
いまの状況に合わせて、先に読む節を選んでください。
| 当てはまる状況 | 次に読む節・アクション |
|---|---|
| LINEミニアプリが何か、LINE公式アカウントとどう違うかを知りたい | 「LINEミニアプリとは」 |
| 自社のサービスがLINEミニアプリで実現できるか確かめたい | 「LINEミニアプリでできること・できないこと」 |
| ネイティブアプリとLINEミニアプリのどちらにするか迷っている | 「ネイティブアプリ・Webアプリとの判断表」と分岐図 |
| 予算の見当をつけたい、見積もりが妥当か知りたい | 「LINEミニアプリ開発の費用相場と決まり方」 |
| 作り方や、公開までのスケジュールを知りたい | 「LINEミニアプリの作り方」 |
| 開発会社を選ぶ段階にいる | 「開発会社に依頼するときに確認すること」 |
LINEミニアプリとは
LINEミニアプリは、LIFF(LINE Front-end Framework)という仕組みの上で動くWebアプリで、LINEの中からインストールなしで使えます。LINE Developersのドキュメントは「LINEミニアプリはウェブアプリですので、HTML5のほとんどの仕様が使用できます」と説明しています。つまり、作り方の基本はHTML・CSS・JavaScriptによるWeb開発で、そこにLINEのログイン情報や通知、シェアといったLINE側の機能を組み合わせます。
LINEヤフー for Businessによると、LINEミニアプリの月間利用者数は2,897万人(2026年3月末時点、LINEヤフー調べ)、リリース済みのサービス数は33,000件(2026年3月時点)です。用途としては、デジタル会員証、モバイルオーダー、来店予約・順番待ち、クーポン・スタンプカード、ゲームなどが挙げられています。
LINE公式アカウントとの違いは役割です。LINE公式アカウントは友だちにメッセージを送り、1対1でやり取りするための窓口で、LINEミニアプリは予約や注文、会員証の表示といった「操作できる画面」を提供します。実際には、公式アカウントのリッチメニューからミニアプリを開く、ミニアプリの利用時に公式アカウントの友だち追加を案内する、という組み合わせで使われることが多く、LINE Developersのドキュメントにも両者を連携させる方法が用意されています。
LIFFアプリとの関係と、新しく作るならミニアプリ
LIFFはLINEの中でWebアプリを開くための仕組みで、LINEミニアプリはLIFFを使って作られます。LINE Developersは、今後LIFFとLINEミニアプリのブランドを統合し、LIFFをLINEミニアプリに統合する予定だと発表しています(2025年2月12日のニュース)。そのため、LIFFアプリを新しく作る場合はLINEミニアプリとして作ることが推奨されています。
一方で、LIFFアプリでできてLINEミニアプリではできないことがあります。公式ドキュメントが挙げているのは次の3点です。
| 項目 | LINEミニアプリでの扱い |
|---|---|
| ヘッダー右上のアクションボタン | 非表示にできない(LIFFアプリのモジュールモードは設定不可) |
| 1つのチャネルに追加できるWebアプリ | 1つだけ(複数のWebアプリを追加できない) |
| LINE内ブラウザの画面サイズ | 全画面(Full)のみ。LIFFアプリのように選べない |
既存のLIFFアプリをLINEミニアプリへ移す場合は、この3点が今の画面設計に影響しないかを先に確認しておくと安全です。
未認証ミニアプリと認証済ミニアプリ
LINEミニアプリは、LINEヤフーの認証審査を通っているかどうかで「未認証ミニアプリ」と「認証済ミニアプリ」に分かれます。チャネルを作った時点では未認証ミニアプリとして使い始められ、審査に通ると認証バッジがつき、使える機能が増えます。LINE Developersの「カスタム機能」のページによると、両者の違いは次のとおりです。
| 機能 | 未認証ミニアプリ | 認証済ミニアプリ |
|---|---|---|
| サービスメッセージ(予約確認などの通知) | 使えない | 使える |
| Custom Path(URLに独自の文字列を設定) | 使えない | 使える |
| 端末のホーム画面にショートカットを追加 | 使えない | 使える |
| 共通プロフィールのクイック入力 | 使えない | 使える |
| ヘッダーにミニアプリ名を表示 | 使えない(ドメイン名を表示) | 使える |
| LINE公式アカウントの友だち追加への誘導 | 使える | 使える |
| カスタムアクションボタン | 使える | 使える |
| 決済システムの利用 | 使える | 使える |
| 広告の掲載(日本のみ) | 使える | 使える |
このほか、LINEの検索から見つけてもらう機能や、ホームタブの[サービス]に最近使ったミニアプリが表示される機能も、認証済ミニアプリだけが対象です。社内向けの試作や限られた利用者への提供なら未認証のままでも始められますが、一般の利用者に継続して使ってもらうサービスでは、認証審査を受ける前提でスケジュールを組むのが現実的です。
LINEミニアプリでできること・できないこと
LINEミニアプリでできることは、「Webでできること」と「LINEが用意している機能」の足し算で考えると整理しやすくなります。Web技術で作れる画面や機能はほぼそのまま作れ、そこにLINEのログイン、通知、シェア、決済などが加わります。
LINEの機能で実現できること
公式ドキュメントで確認できる主な機能と、業務での使い方を対応させると次のようになります。未認証ミニアプリで使えない主な機能は、前の表のとおりです。
| LINE側の機能 | 内容 | 業務での使い方の例 |
|---|---|---|
| LINEのプロフィール情報の利用 | 利用者の許諾を得て、LINEのユーザー情報を使える | 会員登録や予約で、氏名などの入力を減らす |
| 共通プロフィールのクイック入力 | 住所や電話番号をボタン1つで自動入力 | 予約・注文時の入力の手間を減らす |
| サービスメッセージ | 利用者の操作に対する確認や応答を、専用のトークルームに通知 | 予約完了、順番の呼び出し、注文の受付通知 |
| シェア(アクションボタン、シェアターゲットピッカー) | ミニアプリのページを友だちにLINEで送れる | クーポンや招待の共有 |
| 友だち追加オプション | 利用開始時にLINE公式アカウントの友だち追加を案内できる | 来店客を公式アカウントの友だちにする |
| ホーム画面へのショートカット | 端末のホーム画面から直接開ける | 会員証やモバイルオーダーなど利用頻度の高い機能 |
| 決済 | 外部の決済サービスを組み込める。日本ではアプリ内課金も使える(認証済のみ・利用申請と承認が必要) | 事前注文の支払い、デジタルコンテンツの販売 |
| 広告の掲載 | LINEヤフー広告のディスプレイ広告を掲載できる(日本のみ) | 無料で提供するサービスの収益化 |
サービスメッセージは、LINEヤフー for Businessの解説で無料で利用できると案内されている通知機能です。ただし送れるのは、利用者の操作に対する確認や応答だけで、値下げや新商品、割引クーポンなどの広告・販促の通知は禁止されています。販促のメッセージを送りたい場合は、LINE公式アカウントのメッセージ配信(料金プランの通数に数えられる)を使う設計になります。
作る前に知っておきたい制約
できないこと、または注意が必要なことは、要件を決める段階で押さえておくと手戻りを防げます。
- 画面の上部は自由にできない: ヘッダーとアクションボタンはLINE側が表示し、アクションボタンは非表示にできません。全画面の独自デザインを前提にした設計は、ヘッダー分を差し引いて考えます
- 販促の通知はサービスメッセージで送れない: 前の節のとおり、販促はLINE公式アカウント側で送ります
- 日本ではLINE Payは使えない: 公式ドキュメントの決済の表では、日本はLINE Payが対象外で、アプリ内課金とその他の決済方法が対象です
- アプリ内課金はデジタルコンテンツ向け: アプリ内課金は日本のみで、認証済ミニアプリだけで使え、事前の利用申請と承認が必要です。現在扱えるのは消耗型のデジタルコンテンツだけです。App StoreとGoogle Playの決済の仕組みを使い、所定の手数料がかかります(手数料率は利用申請の画面に表示されます。アプリ内課金の概要)。物販や飲食の代金は、外部の決済サービスで受け取ります
- 外部ブラウザでも動くように作る必要がある: 2025年10月1日から、LINEミニアプリはすべての利用者が外部のWebブラウザでも使えるようになりました。外部ブラウザでは、ログインが必要なサービスならLINEログインを明示的に実行する必要があり、メッセージ送信(liff.sendMessages)やアプリ内課金など一部の機能は使えないか、動作が保証されません。公式ドキュメントは、LINEアプリで開くよう案内する表示を設けることを推奨しています
- 表示速度の目安がある: LINEヤフーは、LighthouseのPerformanceスコア50以上を推奨しています
ネイティブアプリ・Webアプリとの判断表
LINEミニアプリ・Webアプリ・ネイティブアプリのどれにするかは、「利用者が使い始めるまでの手間」「通知の届け方」「端末の機能をどこまで使うか」で決まります。LINEヤフー for Businessが公開している比較をもとに、判断に効く項目を並べると次のとおりです。
| 比較項目 | LINEミニアプリ | Webアプリ | ネイティブアプリ |
|---|---|---|---|
| 使い始めるまで | インストール不要。LINEアカウントですぐログイン | インストール不要。会員登録やログインは自前 | ストアからのインストールが必要 |
| 通知の手段 | サービスメッセージ、LINE公式アカウントのメッセージ | メール、ブラウザの通知 | プッシュ通知 |
| 見つけてもらう導線 | LINE内の検索、ホームタブ[サービス]の利用履歴、ホーム画面のショートカット(いずれも認証済のみ)、QRコード、リンク | 検索エンジン、広告、リンク | ストア、ホーム画面のアイコン |
| 開発の仕方 | Web技術+LINEのAPI・SDK。iOS・Android共通 | Web技術。iOS・Android共通 | iOSとAndroidそれぞれ(共通化の技術もある) |
| 公開時の審査 | 未認証なら審査なし。認証済にするにはLINEヤフーの審査 | なし | 各アプリストアの審査 |
| デザインの自由度 | ヘッダーなど一部は固定 | 自由 | 自由(各OSのガイドラインに沿う) |
| 端末の機能 | Webで使える範囲(位置情報、カメラ・マイクなど) | Webで使える範囲 | カメラ・センサーなど端末固有の機能を広く使える |
表のうち、LINEミニアプリの導線の行はLINE Developersのドキュメントに基づきます。Webアプリとネイティブアプリのログインの扱い、導線の広告・ストア、共通化の技術は当社による補足です。
この表から分かるのは、LINEミニアプリの強みが「すでにLINEを使っている人に、インストールと会員登録の手間なく使ってもらえること」と「LINEで通知が届くこと」に集中している点です。逆に、Webでは使えない端末固有の機能を中心に使う場合や、ストアでの配信そのものに価値がある場合は、ネイティブアプリのほうが向いています。
どれで作るかを決める
判断の順番を分岐図にまとめました。上から順に当てはまるかを確かめていきます。
- Webでは使えない端末固有の機能を中心に使うか、ストアでの配信が必要か: 当てはまるならネイティブアプリです。端末の機能が中心のサービスは、Webの範囲に収まりません
- 利用者がLINEで接点を持ち、ログインと通知をLINEで済ませたいか: 当てはまらない場合、つまりLINEを使わない利用者が多い、または検索エンジンからの流入が主な入口になる場合は、通常のWebアプリが向いています
- 会員証・モバイルオーダー・予約などの決まった機能で足りるか: 足りるなら、パッケージ型のLINEミニアプリを選びます。LINEヤフーの認定パッケージ一覧には19件(2026年10月1日時点)が掲載されており、作るより早く安く始められます
- 足りない場合: 委託開発または自社開発で、自社専用のLINEミニアプリを作ります。独自の会員制度や、既存の会員データ・業務システムとの連携が必要な場合が典型です
すでにネイティブアプリがある企業が、アプリを入れていない層との接点としてLINEミニアプリを追加する使い方もあります。LINEヤフー for Businessの導入事例では、株式会社チュチュアンナが、ネイティブアプリのダウンロードをためらう層との接点として2024年11月にLINEミニアプリを導入し、導入後に登録した新規会員の約16.7%がLINEミニアプリ経由となり、新規会員売上が前年比20%増えたと紹介されています。スターバックス コーヒー ジャパンも、ネイティブアプリとは別にLINEミニアプリ版のスターバックス カードを提供しており、リワード会員の約25%にあたる440万がこれを保有していると紹介されています(2025年10月時点、2025年11月公開の事例)。どちらか一方に決める必要はなく、役割で分ける考え方もできます。
導入方法は3つ:パッケージ・委託開発・自社開発
LINEヤフーは、LINEミニアプリの導入方法として「パッケージ」「委託開発」「自社開発」の3つを案内しています。どれを選ぶかで費用の形が大きく変わります。
| 導入方法 | 費用の形 | 向いているケース | 注意点 |
|---|---|---|---|
| パッケージ | 初期費用+月額費用 | 会員証・モバイルオーダー・順番待ちなど、一般的な機能で足りる店舗 | パッケージにない機能は追加開発(別料金)。画面や運用の自由度は限られる |
| 委託開発 | 開発費(見積もり)+保守費・サーバー費 | 自社のブランドや会員制度、既存の会員基盤・POSとの連携が必要な企業 | パッケージより費用と期間がかかる。要件の決め方で金額が大きく動く |
| 自社開発 | 社内の人件費+サーバー費 | Web開発ができる担当者が社内にいる企業 | LINEの仕様変更や審査への対応も自社で続ける必要がある |
LINEヤフーは、パッケージ・委託開発・自社開発を組み合わせる方法もあると説明しています。たとえば、会員証はパッケージで始め、独自の予約機能だけを委託開発で作る、といった分け方です。LINEヤフー for Businessには、認定パッケージの一覧と、認定委託開発企業の一覧が公開されています。
LINEミニアプリ開発の費用相場と決まり方
LINEミニアプリの費用は、選んだ導入方法と、つなぐ外部システムの数でほぼ決まります。LINEミニアプリ自体の利用料はかからないため、費用の大部分は「誰が何を作るか」と「公開後に何を払い続けるか」です。
公開されている費用の目安
LINEヤフー for Businessの認定パッケージ一覧から価格帯の異なる例と、開発会社が自社サイトで公開している目安を並べました(2026年10月1日時点)。
| 区分 | 公開元 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| パッケージ:モバイルオーダー | funfo | 初期0円・月額0円 |
| パッケージ:順番待ち・整理券 | matoca | 初期1.5万円・月額1万円 |
| パッケージ:セルフオーダー | QR Order | 初期9.8万円・月額9,800円 |
| パッケージ:会員証・ポイント | EDWARD | 初期8.8万円・月額1.5万円 |
| パッケージ:店内モバイルオーダー | ダイニー | 初期30万円・月額4万円 |
| パッケージ:会員証・販促 | betrend | 初期50万円・月額15万円 |
| パッケージ:商品の予約受付 | デジクル | 初期100万円・月額1万円 |
| 委託開発:会員証などの基本機能 | DIGITALIO | 50万〜200万円程度・1〜2か月程度 |
| 委託開発:基本機能+POS連携など | DIGITALIO | 300万〜700万円程度・3〜6か月程度 |
| 委託開発:シンプルな機能 | マウンテンフィールド | 300万〜500万円程度 |
| 委託開発:複数の高度な機能 | マウンテンフィールド | 500万〜1,500万円程度 |
| 委託開発:小〜中規模 | RIPLA | 300万〜1,000万円超 |
| 委託開発:大規模 | RIPLA | 1,000万円以上 |
パッケージの公開元は、funfoがファンフォ株式会社、matocaが株式会社ブレイブテクノロジー、QR Orderが株式会社BlueIsland、EDWARDが北海道デジタル・アンド・コンサルティング株式会社、ダイニーが株式会社dinii、betrendがビートレンド株式会社、デジクルが株式会社デジクルです。委託開発は株式会社DIGITALIO、株式会社RIPLAが自社サイトで公開している目安と、株式会社マウンテンフィールドが自社サイトの解説で一般的な目安として紹介している金額です。マウンテンフィールドは、個別開発の納期を数か月〜半年程度が一般的で、要件次第ではさらに長期になるとしています。
パッケージの金額は認定パッケージ一覧の掲載値で、掲載19件の範囲は初期費用0円〜100万円・月額0円〜15万円です。店舗数や機能の追加で変わることがあります。委託開発の金額は各社の「目安」で、区分の定義(何を基本機能と呼ぶか)は会社ごとに違います。同じ「会員証」でも、ポイントの付与ルールや既存の会員データとのつなぎ方で金額は数倍変わるため、上の表は予算の桁をつかむために使い、比較は同じ前提で取った見積もりで行ってください。
費用の段が上がる条件
公開されている目安を見比べると、金額の段が上がるのは機能の数そのものより、次の条件が入ったときです。
| 条件 | 費用が上がる理由 | 先に決めておくこと |
|---|---|---|
| POS・基幹システム・既存の会員基盤との連携 | 相手側のAPIの調査、データの対応づけ、障害時の扱いが必要になる | 連携先の仕様書があるか、連携先の会社の協力を得られるか |
| 予約・順番待ちの独自ルール | キャンセル、指名、枠の管理など分岐が増える | 店舗ごとに違うルールを統一できるか |
| 決済の組み込み | 決済サービスとの契約、返金や失敗時の処理、テストが増える | 決済サービスと、返金の運用を誰が担うか |
| 管理画面 | 店舗スタッフや本部が使う画面を別に作る必要がある | 誰が何を操作するか、既存の管理画面で代えられないか |
| 認証審査と外部ブラウザへの対応 | 審査の確認事項への対応、LINEを使わない利用者向けの表示とログイン処理 | 認証済にするか、LINE未使用者にも使わせるか |
| 多店舗・多ブランド | 店舗ごとの設定や権限、ブランドごとのチャネルの分け方が必要になる | 店舗数の見込みと、チャネルを分ける単位 |
画面の数で費用を考える見方もありますが、LINEミニアプリでは連携と分岐の量のほうが金額に効きます。画面数での見積もりの読み方は、アプリ開発の費用は画面数で決めてよいかを解説した記事で詳しく扱っています。
開発費のほかにかかる費用
公開後も払い続ける費用は、開発費の比較だけでは見落としやすい部分です。
| 費用 | 内容 | 目安・確認先 |
|---|---|---|
| LINE公式アカウントの料金 | 販促メッセージを送る場合の月額。Messaging APIのプッシュ送信も通数に数えられる | コミュニケーションプラン0円(無料メッセージ200通)、ライトプラン月額5,000円(5,000通)、スタンダードプラン月額15,000円(30,000通)。いずれも税別 |
| サーバー・ドメインなど | ミニアプリの画面とデータを置く環境 | 構成と利用者数による |
| 保守・改善 | 不具合対応、LINEの仕様変更への追従、機能追加 | RIPLAは初期開発費の年10〜15%程度を目安として公開 |
| 決済手数料 | 外部の決済サービス、またはアプリ内課金の手数料 | 決済サービスの料金表、アプリ内課金はLINE Developersコンソールの申請画面 |
| パッケージの月額 | パッケージを使う場合の継続費用 | 店舗数や機能で変わる |
LINE公式アカウントの料金はLINEヤフー for Businessの料金プランのページで確認した金額で、スタンダードプランのみ追加メッセージを従量課金で送れます。追加メッセージの単価は、2026年10月1日の料金改定後で月20万通までが1通3円、20万通を超えた分が1通2.5円です。
パッケージと委託開発の総額を比べる
パッケージは初期費用が安く、委託開発は初期費用が高いぶん月額が小さくなりやすい、という関係にあります。そのため、店舗数が多く利用期間が長いほど、総額が逆転することがあります。
比べるときは、同じ期間(たとえば5年)で次の式に当てはめます。
- パッケージの総額=初期費用+月額(店舗単位なら×店舗数)×利用月数+追加開発費
- 委託開発の総額=開発費+(保守費+サーバー費)×利用月数+機能追加の見込み
RIPLAは自社の解説で、1店舗月額3万円のパッケージを50店舗で5年使うと9,000万円、開発費600万円と月額20万円のインフラ費で作ると1,800万円、という試算を示しています。この試算には保守費が含まれていないため、同じ解説が示す保守費の目安(開発費の年10〜15%)の上限で見積もると、5年で450万円が加わります。前提の置き方で結果は変わりますが、店舗数と利用期間をそろえて計算すると、どちらが得かを数字で議論できます。逆に店舗数が少なければパッケージが合理的な場合もある、と同じ解説で触れられています。
LINEミニアプリの作り方:開発から審査・公開までの流れ
LINEミニアプリは、LINE Developersコンソールでチャネルを作れば未認証ミニアプリとしてすぐに使い始められます。技術的な作り方を確かめてから、公開までの手順を見ていきます。
技術的な全体像
技術的には、LINEミニアプリはLIFF SDKを組み込んだWebアプリです。公式ドキュメントで確認できる要点は次のとおりです。
- 画面はHTML・CSS・JavaScriptで作り、公開したWebアプリのURLをエンドポイントURLとして登録します。エンドポイントURLのURLスキームはhttpsである必要があります
- LIFF SDKは、CDNのパスを
script要素で読み込むか、npmでインストールして組み込みます(LIFFアプリの開発)。LINEミニアプリで使えるLIFF SDKの最小バージョンはv2.1で、アプリ内課金を使う場合は2.26.0以上が必要です - 各ページでは、LIFF IDを指定して
liff.init()を実行し、初期化してからLIFFの機能を使います。ページを開くたびに初期化が必要です - 予約完了などのサービスメッセージは、ミニアプリの画面からではなく、サーバー側からサービスメッセージAPIを呼び出して送ります
- 開発用・審査用・本番用の3つの内部チャネルで、開発中の版と公開中の版を分けて扱います
Web開発の経験があるエンジニアなら、LINE固有の部分はこのSDKと設定に集約されます。費用や期間が膨らむのは、LINE側よりも、つなぐ業務システムや決済、予約のルールの側であることがほとんどです。
開発から公開までの手順
一般向けに認証済ミニアプリとして公開する場合の流れは、次のとおりです。
- LINE Developersのアカウントとプロバイダーを用意する: プロバイダーは、サービスを提供する会社として利用者に表示される単位です。LINEヤフー for Businessの解説では、日本の法人番号を持つ組織または日本の個人事業主であれば開発できるとされています
- LINEミニアプリチャネルを作る: チャネル名やチャネル説明などを登録し(プライバシーポリシーのURLは、認証プロバイダーでない場合はチャネル作成後に設定します)、LINE開発者契約やLINEミニアプリポリシーに同意します。チャネル名に「LINE」やそれに類する文字列は使えません
- 開発とテストを行う: チャネルの内部には開発用・審査用・本番用の3つのチャネルがあり、開発用で作り込みます。公開前は、審査前・審査中のミニアプリにベーシック認証でアクセス制限をかけられます
- 認証審査を申請する: コンソールの[審査申請]タブから申請します。予約・支払い・注文を含むサービスは、審査用のテストシナリオ(アカウント、商品、店舗など)を提出する必要があります
- 承認後に公開する: 初めての審査で承認されると、すぐに本番へ反映されます。LINE内の検索に表示する時期は[検索可能にする]ボタンで決められ、30日以内に操作しない場合は31日目の午前9時(日本時間)に自動で検索できるようになります
審査期間について、公式ドキュメントは「1〜2週間程度」かかり、却下された場合の再申請と再審査にはさらに数日かかると説明しています。審査の完了日は指定できないため、キャンペーンの開始日などが決まっている場合は、その分を逆算して申請日を決めます。公開後にミニアプリ名やチャネル・LIFFの設定を変える場合も、変更は審査を通過して公開の操作をするまで本番に反映されません。承認から30日以内に公開の操作をしない場合は、31日目の午前9時(日本時間)に自動で公開されます。
審査を申請する前に確認すること
LINE Developersは、審査の依頼前に次の点を確認するよう案内しています。
- アイコン、読み込み中のアイコン、横向き表示の安全領域などのガイドラインと、パフォーマンスの目安を満たしているか
- LINEミニアプリポリシーを守っているか
- プロバイダー名がサービス提供者と同じか。プライバシーポリシーで利用者情報を取得する会社がプロバイダー名と同じ会社になっているか
- チャネル説明に、正しいサービス内容が書かれているか。公式の例では、店名だけの説明ではなく「事前注文・決済ができ、店舗で商品を受け取れるモバイルオーダーサービス」のように、何ができるサービスかを書くよう示されています
- 審査用と本番用のURLが同じサービスを表示しているか
開発会社と発注企業が別の会社になる委託開発では、プロバイダー名・チャネル説明・プライバシーポリシーの名義を誰にするかで迷いやすくなります。この名義は次の節の「チャネルの持ち主」の問題とつながるため、開発を始める前に決めておきます。
開発会社に依頼するときに確認すること
LINEミニアプリの委託開発では、一般的なアプリ開発の確認事項に加えて、LINEのアカウント構造に由来する確認が必要です。とくに大きいのが、チャネルをどのプロバイダーの配下に作るかです。
LINE Developersのドキュメントは、チャネルは後からプロバイダー間で移動できず、利用者のユーザーIDはプロバイダーごとに異なると説明しています。そのうえで、チャネルとプロバイダーを別々の個人または企業が管理している場合などは、将来問題が起こる可能性があるとして注意を促しています。開発会社のプロバイダーの配下に作ってしまうと、あとで開発会社を変えたり内製化したりするときに、同じ利用者を同じIDで扱えなくなるおそれがあります。
見積もりの段階で、次の質問をしておくと比較しやすくなります。
- チャネルとLINE公式アカウントは、自社が管理するプロバイダーの配下に作りますか。管理者の権限は自社に渡りますか
- パッケージで実現できる範囲と、追加開発が必要な範囲はどこですか
- POS・会員基盤・決済サービスとの連携は、相手側の仕様を確認したうえでの見積もりですか
- 認証審査の申請と、差し戻されたときの対応は費用に含まれますか
- 外部ブラウザで開かれたとき、LINEを使っていない人に、どの画面とログイン方法を用意しますか
- 公開後の保守費には、LINEの仕様変更への追従が含まれますか。含まれない場合はどう見積もりますか
- 作ったコード・設計書の権利と、別の会社に引き継ぐときに受け取れるものは何ですか
依頼先を2社以上比べる段階なら、複数社の見積もりを同じ条件で並べるために、依頼内容を文書にまとめておくのが近道です。提案依頼書(RFP)の作り方はRFPの書き方ガイドで、手元の見積もりの妥当性は見積もり診断ツールで確認できます。開発費全般の相場観はシステム・アプリ開発費用の相場の記事も参考になります。
よくある質問
まとめ
- LINEミニアプリはLIFFの上で動くWebアプリで、インストールなしにLINEのアカウントで使える。LIFFは今後LINEミニアプリに統合される予定で、新しく作るならミニアプリとして作るのが推奨されている
- 未認証のままでも使い始められるが、サービスメッセージやホーム画面へのショートカット、LINE内の検索への表示は認証済ミニアプリだけ。認証審査は1〜2週間程度かかる
- できることは「Webでできること」に「LINEのログイン・通知・シェア・決済」を足したもの。ヘッダーの固定、販促通知の禁止、外部ブラウザへの対応などの制約を要件の段階で押さえる
- Webでは使えない端末の機能やストア配信が必要ならネイティブアプリ、LINEで接点を持たない利用者が中心ならWebアプリ。LINEミニアプリにするなら、決まった機能で足りればパッケージ、足りなければ自社専用で作る
- 費用はパッケージで初期0円〜100万円・月額0円〜15万円(多くは月額数万円以下)、委託開発は会社により50万円程度から1,000万円以上まで幅がある。金額の段は、POSや会員基盤との連携、予約の独自ルール、決済、管理画面で上がる
- 委託開発では、チャネルを自社が管理するプロバイダーの配下に作ることを最初に確認する
LINEミニアプリ開発の相談先
koromoは、Webアプリや業務システムの企画・設計・開発と、公開後の改善までを支援しています。LINEミニアプリでは、パッケージで足りるか自社専用に作るべきかの判断、既存の会員データや業務システムとつなぐ範囲の整理、複数社の見積もりを同じ前提で比べるための要件の書き出しといった、発注前の段階からご相談いただけます。
一方で、会員証やモバイルオーダーなど、認定パッケージの機能で足りる見込みが高い場合は、まずパッケージの無料相談や試用から始めるほうが早く安く進みます。LINEミニアプリで何を実現したいかがまだ決まっていない段階なら、LINE公式アカウントを先に運用して、利用者の反応を見てから検討しても遅くありません。そのうえで、パッケージにない機能や既存システムとの連携が必要になったときに、範囲の決め方からご相談ください。


